<この体験記を書いた人>
ペンネーム:こみく母
性別:女
年齢:59
プロフィール:結婚30年を迎え、夫婦仲良く暮らしています。夫は典型的な亭主関白で私自身意見を飲みこむことも多くありました。
これは私が勇気を出して夫に認知症検査をすすめたときの話です。
私の夫は私より7歳年上で、典型的な亭主関白。頑固な性格で自分で決めたことを曲げることが大嫌いでした。しかし、家族想いでいつも家族のために仕事をし、仕事と家庭を両立してくれる人だったので、特に苦に感じることもなく毎日を過ごしていました。
夫が65歳のときのことです。自分の意見を曲げず、一度言ったことを変えない夫の言動が二転三転するようになってきました。しかし、年齢も高齢者と呼ばれるような年齢だったので、年を取ったのかなと感じるくらいであまり気に留めていませんでした。
ですがそれから数カ月経つと、夫が同じ話をすることが気になるようになってきました。数日前に話した内容を同じように話したり、はたまたそれに対して以前と全く違う見解を話すようになり、夫との会話に不安を感じるようになりました。この頃から「もしかしたら認知症?」と疑問を持つようになりました。
以前、夫と一緒にテレビの認知症特集を見ていたときに、軽い気持ちで夫に「検査してみる?」と聞くと、「自分はそんなことない」と言って機嫌を損ねたことがありました。さらに私自身も大好きな夫に対して「認知症かもしれない」という疑いを持ち、検査を強要することが怖かったのです。一番近くにいて大切な人だからこそ、言いたいことがうまく言えないという思いをこのとき改めて痛感したように思います。
それでも、このもやもやした気持ちのままで夫の隣にいるのがつらくなっていました。夫と話をしないわけにもいかないし、夫の話す内容を指摘することもできず、あいまいな返事で毎日過ごすことしかできていませんでした。
そこで私は、子どもに連絡をし相談することにしました。独り立ちし、県外に住んでいる息子です。息子には昔からなんでも話すことができ、私の話も沢山聞いてもらっていました。息子に相談してみると、「近々実家に帰るから一緒に話そう」と言ってくれました。
そして、いよいよ夫と話す日がやってきました。いつものように夕飯を食べ、リビングでのんびりしているときです。私は勇気を振り絞り、最近の夫の言動が気になることを伝えました。やはり初めは怪訝な顔をした夫でしたが、私と息子の真剣な表情を見るとしっかり話を聞いてくれました。そして、検査を受けてくれることになったのです。
検査の結果としては、脳の萎縮が見られたが、認知症と診断できる決め手はなく、定期的に検査を受けることがすすめられました。今では、夫の言動が気になったらメモをするようにし、認知症を発症しても早期発見できるように心がけています。
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