<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ちもて
性別:女
年齢:52
プロフィール:子育てはほぼ修了。勝手気ままに暮らしたい、海外旅行大好き主婦です。
80代半ばの母は、父が亡くなったあと1人で暮らしていますが、数年前からやや認知症?と思われるような言動が増えてきました。
同じことを何度も話したり、コンロの火を消し忘れて鍋を焦がしたり、うっかりミスが多くなってきたのです。
心配になって病院へ行こうかと勧めてみても「ぼけていない、病院なんか行かない」と言い張るので、無理に引っ張っていくわけにもいかず、手をこまねいていました。
ただ、幸いにも思ったほど進行もせず足踏み状態なので、歳だし仕方ないのかなと考えています。
そんな母のところに、時折孫であるわたしの子どもが遊びに行くことがあります。
すると母は必ずお小遣いをくれるのです。
「え〜と、誰だったかな」と孫の名前はすぐに思い出せないようなのですが、とりあえずお小遣いを渡したいという気持ちにはなるようで、財布を開けます。
そして5千円だったり1万円だったり、その時財布の中に入っているお金によって違うのですが渡します。
もちろん子どもは喜んで受け取るのですが、その後また別の話をしたり聞いたりするうちに10分もすると母は「あ、お小遣いあげてないね?」と言うのです。
「もうもらったよ」と答えると「本当? いくらあげた?」「5千円(1万円)もらったよ」「ああ、そう」などというやり取りをし、別のことをしているとまた「お小遣いあげてないね?」と始まります。
こんなやり取りが3〜4回繰り返され、子どもは苦笑しながら答えているのですが、そのうち面倒になり「あげてないね?」に「うん、もらってないよ」と答えるとなんと母は真顔で「嘘! さっきあげたじゃない!」と言うのです!
これには子どもと大爆笑で「え〜! おばあちゃん全然呆けてないんじゃない?」と言うときょとんとした母は「当たり前じゃない、呆けてなんかないわ」と返します。
けれどまた数分すると「あげてないね?」と始まります。
母と孫のこういったやり取りはもはや日常茶飯事になり、子どもだけで母のところに遊びに行って帰ったら「おばあちゃん元気だった?」「うん、いつもどおりの呆け感だったよ」という会話になり、笑い合っています。
母は確かに軽い認知症ではあるのかも知れませんが、身の回りのことは自身で出来ますし、何より孫の名前は思い出せなくてもお小遣いをあげたいという気持ちはなくならないのです。
これには感心しています。
これからもコメディのように元気に長生きしてくれたらいいなと、日々願ってやまないのでした。
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