義母との同居を開始。徐々に義母の居場所がなくなって...

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ペンネーム:taikobara
性別:女
年齢:62
プロフィール:一人で店を切り盛りしていた義母が76歳のときに同居を始め、85歳から88歳で亡くなるまで要介護2の状態での介護をしました。介護認定を受ける前もすでに要支援状態だったと、いまでは思います。徐々に義母が変わっていたことを後になって気が付き、もっと別のやり方がたくさんあったかもしれない、と申し訳なく思っています。

田舎町の雑貨屋を営むおばあちゃん(義母)は、この家に嫁いで約50年、早くに亡くなったおじいちゃん(義父)が病弱だったので、店の仕事はほとんど一人で切り盛りしてきた「できた嫁」でした。ところが70歳を過ぎたころから様子が変わってきたのです。

売れないにもかかわらず、どんどん商品を仕入れるので、未開封の段ボール箱やほこりをかぶった売れ残り新旧商品が山積みの倉庫のような店内。さすがにお客は離れ、売上激減、支払いにも困るような状態になってしまいました。片付かないのは店だけでなく、居住空間の二階はもっと大変な状況で、ほぼゴミ屋敷状態。この中でおばあちゃんは一人で暮らしていました。
 
持病の糖尿病由来の眼底出血で視力も悪く、いろいろ生活が不便だろうから、早めに同居して生活も助けなければと思い、私は夫に相談。当のおばあちゃんが「来るな」とも「来い」とも言わなかったのをいいことに、ほぼ押しかけ状態で同居を始めたのは、私48歳、夫49歳、息子がまだ3歳の時でした。

たまたま運よく、2階は2世帯が別々に生活できる設計の店舗兼住宅なので、同じ屋根の下ながら、お互いにあまり干渉せず、時々一緒にご飯を食べたり、おかずのおすそ分けをしたりしてそれなりになごやかに過ごしていました。 


同居後は、私は外の仕事を辞め、店の手伝いや片づけに専念。跡継ぎの夫も店に出ていましたが、当初は仕入も財布も主導権をおばあちゃんが握っていたため、なかなか思うように店の改革ができませんでした。一番困ったのは、おばあちゃんが営業に来る問屋さんのおだてに乗って、売れない高額商品を仕入れてしまうこと。膨らむ支払額につい言い合いになってしまうのですが、理屈っぽく正論を掲げる私の言葉に、おばあちゃんは途中で黙りこむことが多くなってきました。そして、徐々に主導権は私達夫婦に移っていきました。

おばあちゃんには、頼りにならないおじいちゃんのかわりに孤軍奮闘し、これまで何十年も店を繁盛させてきた女店主としてのプライドもあっただろうと思います。それなのに、突然押しかけてきた生意気な嫁の存在に、かなり息苦しい思いをさせてしまったかもしれないと、いまになって思います。

そんな生活が続き、お店の中もだいぶきれいに片付き始めた頃、おばあちゃんが糖尿病の栄養指導の為10日間ほど入院しました。この時とばかりに私は店内で唯一手つかずだったおばあちゃんの定席の模様替え。ついでに私も店番をしながら経理事務もできるようにパソコンをセットしました。ですが、これがいけなかったのです。10日後、元気に退院してきたおばあちゃんでしたが、自分がいつも座っていた場所の様子が変わり、パソコンはあるし、落ち着いて座れなくなってしまったのでした。ですが、私はすっきりとした店内に満足。おばあちゃんの気持ちに気づけなかったのです。

もう一つ、おばあちゃんの不在の間に生きがいを奪ってしまっていました。それは、いつも商品を仕入れすぎるおばあちゃんと問屋さんと会わせないようにして、私たち夫婦が仕入れをするようにしたことです。経費節減のため、計画的な仕入れを狙ったものだったので、それは確かに効果はあったのですが、それがおばあちゃんにとってとても残酷なことだとは気付きませんでした。

問屋さん達は、高級商品を仕入れてもらおうと、おばあちゃんの同じ話を一生懸命何度でも聞きます。おばあちゃんにとって、問屋さんの来店は、自分の話を熱心に聞いてもらえる至福の時間だったのです。居場所だけでなく、そんな時間まで私はおばあちゃんから取り上げてしまっていたのでした。

 
徐々におばあちゃんの様子は変わっていきました。店番をしながらよく居眠りをするようになりました。もともと得意話を繰り返すおばあちゃんでしたが、話の内容がかなり固定的になってきて、どんな話をしていても、ほとんど強引にいつもの得意話にもっていくのです。
「その話はもう何度も聞いたよ」そう言ってもとどまることなく同じ話を続けるおばあちゃんに、聞くほうの頭がおかしくなるのではないかと思うほどでした。でもおばあちゃんにしてみれば、人生のほとんどをつぎ込んだこの店の商売を私達夫婦に取り上げられ、生きがいを失った状態だったのです。

その後、おばあちゃんにはゆるやかに認知症の症状がでてきました。私達の同居は、本当におばあちゃんのためによかったのかどうか、いまでも考えてしまいます。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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