「そんなに親を病人扱いしたいのか!」認知症に気づいた私が悪者に?/うちの親にかぎって!

こんにちは、松風きのこです。沖縄への母娘2人旅で、母が認知症ではと気づきはじめた前回。こうなったら専門の病院を受診させなければ!病院に行きさえすれば、進行を遅らせる、もしくは治すことができる(かもしれない)と躍起になって良さそうな病院を見つけました。でも、ただ「病院に行く」だけなのに、こんなに難しいことだったなんて。この段階で、さらなるハードルが待っていたのです...。

前の記事「もしかして認知症?の母との思い出作りは、感動よりも"気持ちよさ"優先で/うちの親にかぎって!」はこちら。

 
ヘンだと思ってるの私だけ!?病院に行くのがこんなに難しいこととは...

沖縄から帰ってきてすぐ、旅先での数々の珍事件を父に報告。「そこまでか!?それはまずいな...」と驚き、同意してくれたので、さっそく認知症を診てくれる病院を探しはじめました。
でも何科を受診すればいいのかもサッパリ分からない。脳なのか、心なのか、神経なのか。しかも実家を離れて30年以上経っている私は、土地勘もない。とりあえずネットで調べ、さらに地元の友達の評判も聞き込み調査して、家から通えそうな病院を見つくろい、父に伝えました。病院さえ決めればあとは父が連れて行くだろうと考えていたのです。

東京に戻り、これまで時々だった電話を、頻繁にかけるようにしました。
様子をうかがう目的もあるけれど、ふだん父と母だけでは会話もなく、笑うことも少なくなっていたので、少しでも刺激になればと思って。

なにしろ母が大好きなテレビ番組「笑点」の大喜利を見ても笑ってない...。私が「お母さん、いま笑うとこだよ!」とオチを説明するとやっと「ああ!そういうことね!」と気づいて笑い、それを見て「そんな意味も分からんで見よったんか」と父が笑うという、もうこのやりとり自体がナンセンス・ギャグみたい...。

母との話題は乏しかったけど、なんでもいいから1日1回でも笑ってもらいたい。ネタをあれこれ探すうち、昔のことを話すのは楽しそうだったので、ていねいにアルバムをめくるように、母の若い頃や私の子どもの頃の話を聞き出していました。
後ろから「いつもいつも同じ話ばかり!昔話なんかしてどうする!」と父の怒鳴り声が聞こえる日もありましたが...。
そして肝心の、病院に行ったかどうかを聞くと

1週間後。
「まだ、いまちょっと忙しくて」何が忙しいんだか分からないけど(この頃すでに家事はほとんど父がやっていたので母はヒマなはずなのに)なんだかんだと理由をつけて、行っていないのです。

1ヵ月後...
「行こうと思ったんだけど体調が悪くて」
「体調が悪いから行くんでしょ!それも一緒に診てもらえばいいじゃない」
「そうねえ、明日お父さんに頼んでみるわ」

2ヵ月後...
「きのこが探してくれた病院ね、お友達に聞いたら"あんなとこ行っちゃダメよ。入ったら出てこられなくなるんだから!"って言われたのよ」
そんな怖いところじゃないよと説得しても、なんだか認知症と分かると、そのまま施設に入れられてしまうという偏見があるようなのです。

あまりにも何もしないまま月日が過ぎていくので、その間にも進行してしまうのではと焦ってきました。
父に「なんで早く連れて行ってくれないの?」と尋ねると、
「お前が言うほどお母さんはおかしくないぞ。年を取ればそんなものだ」と、沖縄から帰った直後の危機感はすっかり忘れているのです。

数ヶ月後には
母「失礼ね!なんで私がそんな病院に行かなきゃならないの?」
父「そんなに親を病人扱いしたいのか!」と両方から怒られるはめに...。


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病院探しもけっこうがんばってやったのに、私の言うことがそんなに信じてもらえないんだろうかと悲しくなりました。違和感を感じているのは私だけ?
そもそも毎日一緒にいる父が、何もおかしいと思わないなんてどうなってるの!?
ああ~振り出しに戻る(涙)。

次回に続く。

 

イラスト/にのみやなつこ

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松風きのこ(まつかぜ・きのこ)さん

大学進学で上京し、広告制作会社でコピーライターを経験したのち、広告、雑誌を中心としたフリーライターに。父(82歳)母(81歳)は福岡在住。5年前、父が頸椎の手術をしたのを機に、それまで年に1週間程度だった帰省を3~4ヵ月間に増やし、さらに母が認知症と分かったため、東京と福岡を往復しながら遠隔介護中。母が認知症だとは気づかずに過ごした数年の間に、周囲がみんな逆効果の対応ばかりしていたことに思い当たり、この体験記を書くことに。

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