<この体験記を書いた人>
ペンネーム:梅雨入り宣言
性別:女
年齢:65
プロフィール:夫、長男、ペットの犬、猫と暮らす主婦です。
83歳で亡くなった義理の父は、とても頑固でわがままでした。同居していた義理兄夫婦は子ども達を含めて大変苦労をしましたし、もちろんのこと義母も機嫌を損ねると長引き、さらに大声を出すので、できるだけ逆らわないように生活をしていたのです。
ところが義母が胃がんになり、義父より5年ほど先に他界。それが原因かもしれませんが、そのころからさらに怒りっぽくなり、いろんなものを壊し始める始末。
今から30年ほども前のことなので、認知症による言動か否か判断もつかず、家族にとっては性格からくるものだという認識しかなかったため、ただひたすら困り果てていました。今の時代なら情報があるので、ちょっと変だと疑いを持ったり、通院もできたのでしょうが、周りの親戚たちも通院などということには考えに及びませんでした。
そんなある日のこと、義父が家からいなくなり、義兄があちこち探しまわってやっと見つけた場所が、義父の生家でした。ですが、もうその生家は代替わりしていて、当主は義父の甥。その家に突然行き、つかつかと上がり込んで仏間へはいっていったそうです。
そして、その家の人の静止も聴かずに「これはわしの買ったものなんだ! わしのものだ‼」と繰り返し、仏壇の中の燭台を持って帰ってきたのです。もちろんそれはそこの家のもの。大変申し訳のないことでした。
おまけに最悪なことに、その日はそこの息子さんの結婚相手の家族との顔合わせの日。みんな正装して、ごちそうを並べてかしこまった大切な行事の最中だったのです。そこへ野良着のお爺さんが乱入し、目の前の仏壇から燭台を自分のものだと主張し持って帰ったのだから、居合わせた人はびっくりです。いくら年寄りといえども、そんなタイミングでそんなことをされては、生家はたまったものではありません。怒り心頭です。
義兄はとにかく平身低頭謝って連れて帰り、後日燭台を返そうとしたのだそうですが、義父は帰るなり持ってきた燭台をかくしたので、家族で家探ししやっとのことで発見。そして、それとよく似た燭台を購入し、こっそりとすり替えておいたとのことでした。
その後その本家とは疎遠になってしまったそうです。
ドタバタ喜劇のようなお話ですが、実際その時は我が家も含めて、家族一同右往左往の一大事でした。思い出話としては今なら大笑いできますが、その時はびっくりするやらショックをうけるやらで大騒動です。
その後義父は肺炎をおこし亡くなったのですが、義父のことは今でも語り草になっています。
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