週に何回、外出していますか? "お出かけ"は脱・介護への一歩です

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食料品を買いに出かけるなど、日常生活の中で必要なこと以外で、最近外出していますか?外出しない状況が続くと、さまざまな弊害があることが分かっています。外出しない「閉じこもり」という状態を続けると活動量が減り、心身機能が低下した「廃用症候群」と呼ばれる状態になります。悪化すると介護が必要になる可能性が高くなることが分かっているのです。そこで、閉じこもりの予防法を、首都大学東京健康福祉学部准教授の藺牟田洋美先生に伺いました。

前の記事「口腔ケアや筋力維持にもつながる"化粧療法"で心身健やかに!(1)」はこちら。

 
――「閉じこもり」とは、どのような状態を指しますか。

外出頻度が週1回未満の状態を指し、地域により65歳以上の1~2割が閉じこもりであるといわれています。認知症などは専門知識が必要ですが、閉じこもりは生活様式なので予防ができます。ところが、生活様式だからこそ気付かれないという側面もあるのです。

「閉じこもり」は「引きこもり」とは異なります。引きこもりは外出を全くしないので、周囲にも明確に分かります。しかし閉じこもりは、スーパーに行くなど月に2~3回外出しているので、それがその人の生活様式なのだと認識されたり、高齢者なら外に出ることが少なくなるのは当然と思われたりして、気付かれにくくなるのです。

特に退職をきっかけに社会との関わりを失った男性の方が閉じこもりになるケースが多いです。男性は余計なことを話さない人が多いので、医療職の方でさえ気付かないことが多いのです。

 
――どうして閉じこもりになるのでしょう?

閉じこもりの要因は「身体的」「心理的」「社会・環境的」の三つが挙げられます。
病気や身体機能の低下など「身体的」なものが要因の人は、外出支援制度と結び付けば解消されるケースが多いです。しかし外出する気持ちになれない、自分が必要とされていないと感じるなど「心理的」「社会・環境的」要因は明確に表れないため、見逃されやすくなります。また独居よりも、家族と同居の人の方が閉じこもりが多いのが実情です。それは家族が過保護になり、外との関わりを閉ざしてしまうからなんです。

 

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――閉じこもりにならないよう、周囲ができることは何でしょうか。

人は人に生かされています。家族や社会から必要とされている方には元気な方が多いのです。逆に必要とされていないと思うと、閉じこもる傾向があります。
例えば病気やけがで入院し、退院したとします。家族は心配だったり、自分がやった方が早いからと、本人の行動に手出しをしてしまうんです。それを続けると本来はできることができなくなってしまいます。
家族の中で役割があるということが生きがいにもつながるのです。ただし、「やらないと要介護になるよ」というような言葉は、できないときに心理的ダメージを与えるので避けましょう。

 
――では、自身が閉じこもりにならないためにできることはありますか?

「今日の用事をつくろう」と、小さなことでもいいので毎日一つ用事をつくり、外出しましょう。退職後どのように人生を過ごすかプランを立てておくことや、好きなことを見つけてそれを続けることもおすすめします。

人生の幼少期から現在までを系統的に思い出して話す「ライフレビュー」という方法もあります。人にいろいろ話す中で「あの時あのことがあったから、いまがあるんだ」と、人生をプラスに捉えることができます。

閉じこもっている方は自信を喪失していることが多いのですが、輝いていた時の自分を思い出して自信を取り戻すことができるんです。周囲の人は「当時の話を聞かせて!」と良い聴き手になってあげてください。聴いてもらうことでそこが居場所になるのです。

 

藺牟田洋美(いむた・ひろみ)先生

首都大学東京健康福祉学部准教授。博士(医学)、臨床発達心理士。千葉大学大学院文学研究科修了。ライフレビューを活用した閉じこもりの支援など、高齢者心理学、老人保健、行動科学を専門に研究。

この記事は『毎日が発見』2018年4月号に掲載の情報です

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