「姉ちゃんは嫁に出た身やしな!」弟たちに遺産の相続放棄を突きつけられて/かづ

アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。今から20年以上前、私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。

【前回】「喪主が香典持って帰って何が悪い!」葬儀の費用も払わず香典を総取りしようとする弟/かづ

【最初から読む】アッシー・メッシー・貢君だった彼が突然父に結婚の挨拶! 夫との馴れ初め/かづ

「姉ちゃんは嫁に出た身やしな!」弟たちに遺産の相続放棄を突きつけられて/かづ pixta_81113686_S.jpg

下弟から遺産相続の相談をしたいとの連絡があった。

父は医療保険に数口加入していたし、がん保険にも3口入っていたと生前聞いた事があり、少なくとも1500万円は下らない額ではないかと予想した。

けれども私ははなから相続放棄をするつもりでいた。

なぜなら、私の実家の墓は年間管理費が必要な墓で、そもそもその墓に私は入らない。

仏壇にしても、我が家には既に姑を祀っている仏壇があるので、実家の仏壇を私が引き取る事は出来ない。

今後上弟と下弟の2人で実家の墓と仏壇を祀って貰う事になるし、年忌法要にしてもお寺さんへのお布施にしても費用が掛かる。

金だけ貰って後は弟2人にお任せなんて、私としては図々しい事だと思っていた。

それに加えて、私が幾ばくかの遺産を相続するとなると、夫がそれをあてにする事は目に見えていた。

やれ「仕事で要る」だのなんだのともっともらしい理由をつけては、新車が欲しいだのスーツが欲しいだのと言い出しかねない。

今まででも少しばかりボーナスが多かった程度の金額でも、「自分が頑張った結果がボーナスなのに!」と文句をつけ、「あれが欲しい! これが欲しい!」がうるさくて、それを諦めさせるのに毎回めんどくさい事になっていたのにウンザリだった。

子どもも大きくなり、学費や教育費だけでなく、服だの靴だのと色々お金は掛かってきて来るので、本当なら遺産をいくらかでも相続できれば助かるのは確かだ。

けれども「子どもの為に助かる」と思って相続したお金が、日常的に夫の無心でストレスになるのなら、最初から無かったと思った方が気が楽だと思った。

夫には実家の墓も仏壇も見ないのだから、相続放棄をするつもりだと言う事を告げると、「かづがそれで良いなら」と意外とあっさりと納得した。

これについては後でわかった事だが、夫はうちの実家を(父を)低所得者だから遺産と言っても雀の涙程度だろうと思っていたらしい。

高所得者であっても散財に散財を重ねて、スッカラカンになっていた舅姑と一緒にすんなって話だ。

父は地道に貯金もし、互助会も払い込みは完了していたし、自分に何かあった時に子どもらに迷惑を掛けないようにと、備えるべき物はシッカリと備えてあったのだ。

約束した日に実家に行くと既に上弟も来ていた。

私が弟2人の前に座る形の位置になっていて、弟2人の前には書類が色々広げられていた。

相続財産に関して、ここからはいくら、そこからはいくら入るとの説明がされるのだろうと思っていた私に、弟2人は開口一番「この書類にサインとハンコ押してくれるか?」だった。

私の目の前に出された書類は、相続放棄の書類だった。

あっけにとられている私に対して、弟達は2人して口々に「墓は僕が見るし」だの「仏壇は俺が見る」だの言い、それこそ立て続けに何度も何度も「姉ちゃんは見ぃへんやろ?」と繰り返した。

遺産の総額がいくらになるのかや、いわゆる必要事項の説明は何もせず、ただただ「これ書いてくれ」の話が続く。

そもそも私は墓や仏壇の事があるから最初から相続放棄する気でいたが、こうも2人して「書類を書け」と迫られるとムッとしてくる。

その私の表情をどう取ったのかは知らないが、明らかに「遺産を私も欲しい!」と言っているかのように見えたようで、弟2人が口を揃えたようにこう言った。

「まぁ、姉ちゃんは嫁に出た身やしな!!」

父の入院中に病院から付き添いが必要だと言われた時、「姉ちゃんも娘やろ? 娘やったらしてくれてもええやん!」と言っておきながら、遺産分けになったら「嫁に出た身やし!」と来たか。

「嫁に出た身」の私に泊まり込みの付き添いを当たり前と言うように頼んでおきながら、金が絡むと「嫁に出た身」は貰う権利無しのような言いように、腹が立つよりも情けなさで涙が出そうだった。

こんな弟2人に対して、「お姉ちゃんは放棄するからあんた達2人で分ければ良いよ」と言う言葉を用意していた自分が如何に馬鹿だったか。

弟2人の顔を見ながら、「そうだったそうだった。こいつら2人は『男の子の方がエライ』と育ったんだった」と思ったら、揉めても馬鹿らしいと思い直して書類を書きハンコを押した。

「その代わり...」と、私は弟二人に対して、それぞれ今自分達で言ったんだからと、墓と仏壇に加えて、年忌法要はしっかりやってくれと念を押した。

「そんなのは当たり前の事だ」と言わんばかりに、弟達は返事をした。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。
 

かづ

​ブログ「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」の管理人で、Ameba公式トップブロガー。 ​基本専業主婦の​50代​。子育てが終​り、​夫と4ニャンと暮してい​る​結婚36年目です。 ​一人っ子の夫と結婚し、舅姑の理想の嫁でなかった私の結婚生活においての戦いを思い出しながら書いています。

※毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

この記事に関連する「みなさんの体験記」のキーワード

PAGE TOP