「男の方がいると頼もしい」とおだてられ...何もかも押し付けられた娘の保育所「母の会」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:59
プロフィール:子どもたちがまだ小さかった頃は、お弁当なども作ってやってけっこう「イクメン」だったと思います。

「男の方がいると頼もしい」とおだてられ...何もかも押し付けられた娘の保育所「母の会」 17.jpg

「え? PTAってみんな入るもんじゃないのか?」

「お父さん、古いねえ...」

関東圏の中学校で英語教師としての2年目を迎えた娘(26歳)は、コロナで2021年の春も帰省できません。

週に一度は愚痴交じりの電話がかかってくるのですが、先日の電話では、PTAに入らない親が増えて役員決めが大変だという話を聞かされました。

「お前が保育所に入った時は、おれはいきなり会長様だったけどなあ...」

「え? 何それ?」

食いついてきた娘に、私は忌まわしい体験を話し始めました。

20年ほど前、当時娘を預けた保育所には「母の会」という保護者会がありました。

「ちょっと今、そういうのはきついわ」

妻(当時36)は息子の産休が明けて、職場に戻って早々に春の異動があり、慣れない職場であたふたしていました。

まあ保護者会なるものにも興味はあったので、代わりのつもりで出席したのが運のつき。

「男の人が参加するなんて、やる気満々ですね」

考えてみれば「母の会」なんだから当たり前かもしれませんが、出席者で男性は私だけ。

そしてあれよあれよという間に組の代表の役員を押し付けられてしまいました。

大した仕事はないですから、となだめられながら参加した役員の集まりでも男は私1人。

「いやあ男の方がいるなんて頼もしい」

ここでも、男だからの大合唱で断り切れずに会長に祭り上げられました。

「初めてなんですけど...」

「ここにいる半数は初めてですからね」

固辞したもののゴリ押しされ、でも半分は経験者なんでしょ、と言い出す間もありません。

会長は私ですぐ決まっても、それ以外の役員は「私パートがあって...」「うちもおばあちゃんがね...」とグダグダとなかなか決まりません。

私には事情のじの字も聞いてくれなかったのに、お母様同士だと互いに気を遣い合って、何とか決まるまで数時間がかかりました。

ほとほと疲れた役員会が終わると園長先生が寄ってきました。

「実は県の連合会の会議があって...」

通知を渡されましたが、私にも仕事があります。

「いやあ仕事もあって、平日はちょっと...」

「ほんと申し訳ないです。でもまあ、会長となればこの園の代表ですからねえ...」

勝手に決めといてよく言うよ、と思いながらも押し切られ、なけなしの有休を取って責任とやらを果たしに行きました。

するとここでも男性は数えるほど。

「初めてなんです...」の訴えも空しく、女性陣言うところの「やる気に満ちた男性」の1人である私は広報委員会の副委員長になっていました。

この仕事の会合がまたすべて平日。

しかも連絡は電話で来るのです。

まだ携帯も珍しい時代なので、仕事に行く前の早朝に電話がかかってきます。

「ああよかった、やっとつかまった。...あの、委員会が今日に変更になったんですけど...大丈夫ですよね?」

役員の多くは専業主婦なので、予定変更はざらでした。

断ろうとすると「みんな都合をつけて集まっていらっしゃるんですよ。何とかなりませんか」と圧力をかけられます。

やむなく急ぎの仕事だけ朝一でやっつけて、急な有休の大ブーイングを浴びながら駆け付けたこともありました。

県の連合会も大変でしたが、園の方も何か行事があるごとに出席しなければならず、結局この年、有休はすべてこの「母の会」のために費やされることに。

「やっぱり男の方がいると頼りになります」

なんてことを言われても苦笑いしか出てきませんでした。

男だというだけで、しかも「母の会」だというのに、何もかも当たり前のように押し付けられる非道ぶりに憤懣やるかたなかったことを、娘にぼやきまくりました。

娘には「...大変でしたね、お疲れ様」と慰められてしまいました。

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