みなさまこんにちは。アルツハイマー型認知症を発症した実母の近距離介護を行っている石塚ワカメです。
前回の記事:「私さえ我慢すれば・・・」不安まみれの私が号泣した、ある施設長さんの言葉
実母を発見したと連絡をくれたママ友は、息子の保育園のお友だちのママさん。仕事で介護士をしていて、以前から実母の介護についてよく相談に乗ってもらっていました。
実母にも会ったことがあり特徴を覚えていてくれたようで、たまたま保育園の帰り道に実母を発見して、尾行しながら連絡をくれたのです。
ママ友の見守りのもと無事に実母を保護するも、手は震え、冷や汗が止まりません。
ママ友に丁重にお礼を言って別れ、その足で実母を連れて娘と息子の保育園のお迎えに行くことに。
息子の保育園に着くなり、先生が駆け寄ってきました。
なんと息子が癇癪を起こし、仲良しのお友だちのお尻に噛み付いて怪我をさせてしまったとのこと。お友だちはかなり厚手のズボンを履いていたにもかかわらず、かわいらしいお尻にはくっきりと歯形が...。
お前、どんだけの力で噛んだのか...。
すごく痛いだろうし、あとに残るかもしれない。お友だちとママさんは最近の我が家の事情を知っていたこともあり、許してくれるどころか息子の心配をしてくれたけど、申し訳なさでいっぱいです。
更に息子はこの前日にも保育園で大暴れして、他のお友だちに噛み付いてしまったりと、最近とても不安定になっているようだと、先生から報告を受けました。
夜、家族に夕飯を食べさせ、子ども達と実母をアパートに送りました。
連日の徘徊の疲れからか、足腰の痛みを訴える実母。
「今日はもう出かけちゃだめだよ。迷子にならないでね。」と言うと、
「イタタタ...。私はワカメちゃんたちを助けたり守ってあげなきゃいけないのに、こんなに身体が動かなくてごめんね...」と実母。
『身体が動かないどころか徘徊しまくってるけど...』と思いつつ布団をかけてやりました。
アパートの鍵を閉めてから、駄目元でドアに梱包テープを貼り付けました。
どうか夜中に徘徊しませんように...と願いながら。
実母は常々、私たち家族の助けになりたいと言っていました。
それは認知症を患い近距離介護を始めてからも変わらずで、たびたび「こんなにお世話になってばかりで申し訳ない。何か助けてあげられることはないか。」と言っていました。
そんな実母が、今の状況を望んでいるだろうか。
いろいろな状況が飲み込めなくなってしまった今の実母はともかく、以前の実母だったら絶対に喜ばないはずだ。
1年前、まわりが止めるのを聞かずに私ひとりが意地になって始めた近距離介護。
まわりは簡単に「施設に入れろ」と言うけれど、お金の工面はどうするのか。実母の気持ちはどうなるのか。
施設の種類も金額も知らなければお金も出さないくせに、「施設入所」を免罪符みたいに言うきょうだいに抵抗するかのように、とうに沈みかけている船を梱包テープで補修しながら、まだやれる、まだ頑張れると、走り続けていた私。
その結果、いろいろなひずみが息子に行ってしまっていた。
ただでさえ人一倍繊細な息子は、小さいからだと繊細なこころで、たくさん傷ついたのだと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
5歳の息子のこころの傷を目の当たりにすることによって、私がずっと目を逸らし続けていた近距離介護の限界に、ようやく焦点を合わせられるようになったのでした。
次回へ続く
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