玄関の敷居を跨げない認知症の義母。引き戸のレールが「断崖絶壁」に見えていた!?/山田あしゅら

こんにちは山田あしゅらです。

義両親の在宅介護の様子を嫁の目線で綴った ブログ『13番さんのあな―介護家庭の日常―(現・13番さんのつぼ)』。

ここに書いてきた13年間の記録をもとに 今の気持ちを織り交ぜつつ、改めて当時のことを振り返ってみようと思います。

前回の記事:暖かい日...そんなに着込んでどこへ行くの!? 義父が着続ける「ウールの一張羅」/山田あしゅら

イラストには描き加えていませんが、義母は2013年ころまで眼鏡をかけていました。

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義母はかつて絵を描くことが趣味で、看護師をリタイアした後は80歳過ぎまで2つの教室を掛け持ちするほど熱心に取り組んでいました。

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しかし認知症になってからは

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『絵を描く』ということが次第に分からなくなってしまったのです。

そればかりかテレビを楽しむことさえ内容が頭に入らず、気が付けばウトウトし始めます。

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認知症はそういった楽しみまでも徐々に奪ってしまうのですが、現在の義母にとって果たして眼鏡が必要かどうか?甚だ疑問となりました。

しかし身体の一部のようになっていた眼鏡。

今更やめるのもと、そのまま掛け続けていたわけです。

ただ、この頃になるとひとつ気になることが生じ始めました。

デイサービスへ行くためなど手引きで玄関まで来ると

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引き戸のレール(敷居)が跨げず、立ち止まってしまうのです。

そのしぐさはまるで

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断崖絶壁を決死の覚悟で乗り越えるかのごとく。

すくんで、なかなか足が前へ出せないと言った感じです。

もちろん我が家の玄関にそんな段差はありません 。

何度か促して跨いでしまえば、そのあとは何事もなかったかのように足が運べるのですが、跨ぐまでが一大事。

毎朝玄関を出るまでが大仕事になってしまいました。

そこで気が付いたのが義母の眼鏡です。

義母の眼鏡は昔よく見られた遠近両用のものでした。

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もしかしたら、この眼鏡のせいで足元がゆがんで見えているのかも知れない... そう思って眼鏡をはずしてみることにしたのです。

すると

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スムーズとはいきませんでしたが、眼鏡をかけている時のような極端な足のすくみはなくなりました。

以降、眼鏡はすっかりお蔵入り。

義母が使うことは二度とありませんでしたが

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デイサービスでも特に問題なく過ごせているようでしたので、それで正解だと思っていたのです。

ところが...。

しばらくしてからテレビで認知症の人の世界が体験できる『バーチャルスコープ』の話題を見る機会がありました。

驚いたことに、認知症の人は車などから降りる時、『ビルの屋上から飛び降りるような錯覚を起こす場合がある』というのです。

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それは義母が玄関で立ちすくんだ時の様子とまるで同じ。

どうやら立ちすくみの原因は眼鏡だけではなかったようです。

なるほど こんな見え方をしているのなら恐怖で立ちすくんでしまうのも無理はありません。

義母の場合眼鏡をはずしたことにより、視界がぼやけて恐怖が緩和されたのでしょう。

でも、根本的な不安解消にはなっていなかったようです。

結局この立ちすくみも一時的なものでした。

その後は認知症の進行によりその不安さえ感じなくなってきたようです。

(と、いうより自力歩行がままならなくなったというのが正しいかも。)

認知症は私たちの理解を超える病気のようです。

けれど不安の渦中にいるのは何より本人。

その不安の元は何なのか、大変難しいことではありますがその時々に目線を合わせて考えてみることで解決する問題もたくさんあるのかも知れません。

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山田あしゅら

まもなく60代を迎える主婦。3人の息子は巣立ち、孫が2人いるおばあちゃん。 義父・太郎を平成31年4月(享年90歳)、義母・はな子を令和2年11(享年95歳)をそれぞれ見送り、現在は夫と二人暮らしをしている。 13年間にわたり義父母の介護の奮闘を綴ったAmebaブログ 「13番さんのあなー介護家庭の日常(現・13番さんのつぼ)」をもとに 平成29年7月『毒舌嫁の在宅介護は今日も事件です!』を出版。

※毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

山田あしゅらさんのブログ:13番さんのつぼ

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