<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女
年齢:52
プロフィール:52歳の兼業主婦。得意な料理は出汁のきいた煮物です。
私は52歳の兼業主婦です。
一つ年上の旦那と結婚して、旦那実家で義両親と生活するようになり、25年ほど経ちます。
私は結婚当初、義母(現在76歳)に料理を叩き込まれました。
今思えば、叩き込まれたとは言っても義母は元来優しい性格で、世間で言うところの嫁姑問題などではなく、ちょっと細かく指導されたという感じです。
しかし、新婚で若かったことや、結婚前から勤めていた会社で仕事は続けていて、変に「私にはキャリアがある」と思っていた私。
義母についイライラしてしまい、「これはもしかすると仕事を続ける私への嫁いびりなのでは?」と感じてしまったこともありました。
しかし、数年でそんな誤解は解け、義母とは長く一緒に暮らしていけそうと感じました。
私の仕事への理解もあるし、子供が熱を出した時などは、義母が私の代わりに学校へ迎えへに行ってくれたこともあります。
「仕事しよるんやけん、しゃあないこともある。全部しようと思わんで無理な時には何でも言いよ」
いつもそう言ってくれて、家事なども率先して手伝ってくれる義母。
「嫁いびり」なんて行動は一つもありませんでした。
よくよく考えると、私と義母では洗濯物のたたみ方だって違います。
だけど、「違う!」なんて言ったりしません。
「そういう風にたたんだら、確かに水場ではタオル掛けやすいかもしれんね」
そう言ってくれる感じで、家事内容に義母と私で違いがあっても、細かく口を出すことも、ましてや嫌味を言うこともありませんでした。
ただそうなると、なぜ料理だけはあんなに細かく口を出されたのだろうと長年疑問には思っていました。
今ではすっかり義母の味を出せるようになっているので、とやかく言われませんが、昔は本当にこんにゃくの飾り包丁の入れ方一つをとっても細かく言われていました。
しかし、最近法事の際に出した私の料理を食べた親戚から聞かされた話で、ようやくその答えがわかったのです。
料理を食べ終え、お茶を飲みながら話していた義父の妹さんが「しっかり、うちの味になっとんね」と言い、内緒話を話すように義母の真意を話してくれました。
「昔ね。義姉さん『ここは本家やけん、親戚に文句言われて私さんが悲しまんように、実の娘と思って料理を教えたんよ』って言よったわ」
今では時代錯誤かもしれませんが、やはり年配の方は本家筋などを気にするようです。
親戚の中には、「本家の嫁」はきちんと家事ができて当たり前という感覚をもっている人もいるらしく、義母は相当苦労したと聞きました。
そこで私にはそんな陰口を言われないように、料理の味だけはと思い、細かく指導していたということなのです。
感動しました。
それを真正面から口にしない義母の優しさと、「実の娘と思って」という言葉に、嫁になった頃からきちんと家族と認めてくれていたことについほろっとしてしまいました。
私も2人の息子がいるので、その子供たちが連れてきたパートナーの方には、義母のような深い愛情をもって接しようと思えた出来事でした。
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