震える声で「顔が見たかった」。いつも家族の味方でいてくれた父との別れに涙が止まらない

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:aozora
性別:女
年齢:42
プロフィール:主婦です。1年前に実父が72歳で亡くなりました。父が亡くなっても父の愛情を感じます。

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父は3年前から体調を崩し、原因が特定できてからも薬の副作用が出れば投薬をやめて様子を見て、また別の薬を試す...という具合に2年程は入退院を繰り返していました。

病気自体は深刻なものではないけれど、体質の問題で治療に時間がかかるようだ、と母から聞かされていたので、危篤の連絡を受けた時には頭が真っ白になりました。

少し前に電話で話した時には、退院したら母と旅行に行くと話していたのに。

私は結婚して実家から離れた所に暮らしているので、病院まで6時間かけて向かいました。

病院に到着しICUに入ると、父が「顔が見たかった」と震える声で私の名前を呼んでくれました。

苦しければ睡眠薬で少し眠った方がいいのではと医師から言われていたようなのですが、父は私が来るまでは起きていると睡眠薬を断っていたのです。

眠ればもう目が覚めないと思っていたのかもしれません。

息が苦しいのに、ゆっくりと私との思い出を話す笑顔の父。

私も、実家と父が大好きだと最後に伝えることができました。

その日の朝、容態が急に悪くなりなんとか持ち直した後、母兄姉と順番に話しをして最後に私と話して亡くなりました。

家族みんなに最後の時間を作ってくれたのだと思います。

父は、笑うと俳優の西田敏行さんに似ていて話も面白いのですが、こだわりが強くとてもマイペースな人でした。

そして、私達子供はその愛情を一身に受けてきたのです。

兄が22歳の時、急に仕事を辞めて実家に帰ってきた際は、説教もせず今後について一緒に考えてあげていました。

35歳で姉が離婚した時は、世間体を気にする相手の親に「気持ちがない事をするな」と一喝、考えるべきは娘と孫のことだけだと言い放っていました。

息子の出産で私が入院した時は2歳の娘を預かってくれました。

それだけではなく、片道6時間かかる道のりを私に娘を会わせるために何度も来てくれました。

家族に何かあった時にはいつも父がいてくれました。

2017年の夏、実家の地域が大雨災害に見舞われた時もです。

降り続く大雨は夜になっても止まず、家の前を流れる川の水量と裏山の水の音に危険を察知し、父は夜中の3時に役場に連絡し公民館に自主避難。

高齢者の一人暮らしも多い地域なのですが、近所で助け合って全員避難することができ、死者やけが人を1人も出すことなく朝を迎えることができました。

街灯もないどこまでも真っ暗な中、水が流れる道路を前に母は恐怖で足がすくんだと話していました。

父がいなかったら動けなかったと。

その頃、私はすでに親元から離れて暮らしており、電話が繋がった時には「(自分達は)無事だけど、家は立ってるか寝てるか分からんよ」と私を心配させないよう気楽な様子で笑った父。

そして、驚くことにケーブルテレビに連絡して床上浸水でぐちゃぐちゃな我が家にカメラを連れていき、もちろん自分も取材を受けて喋る喋る...。

新聞にもニュースにも出て、私は地元の同級生から「今日もお父さん出てたよ」と笑われる事も。

その後、1年かけて災害から立ち直る様子が特集されたので、取材を受けては自慢してくる父がうっとおしい程でした。

最後の撮影は地域の桜祭り。

その日は、姉が再婚して実家を出る日でもあり、私も帰省して参加しました。

撮影場所にライトアップされた夜桜の下を自ら指定し、そこまではみんなで笑っていたのですが「災害にあったからこそ楽しい事をやめたらダメだと思った」と涙をこらえて笑った父を見て、泣きました。

地元に住んでいた姉には最高の励ましだったと思うし、参加者全員が温かい気持ちになりました。

父のお葬式には予想以上にたくさんの人が来てくれました。

あの時は強い悲しみの中でもいろんな方の中に父の姿を感じることができましたし、今も思い出の中で、父の大きな愛情を感じ続けています。

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