アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。
前回の記事:認知症が進行する前に、誰か...。「誰ひとり見舞いに来ない」姑が哀れに.../かづ
姑の症状は、まだら認知症としてじわじわと進んで行った。
私は介護や看護の知識や経験が少々あったので、今がどんな状況で次にどんなステージなり、そしてどんな準備が必要になるのか備える事が出来たが、夫と舅はそもそも姑の認知症自体を受け入れられていなかった。
それは全て今まで【他人事】として当事者意識が薄かったのが理由だと思う。
夫にしてみれば、自分の親はあくまでも全面的に自分をかばってくれる存在で、頼ればすぐに助けてくれて、そして金づるだった。
舅にしてみれば、今まで何事に関しても決定権は姑にあり、姑の言う事に逆らいさえしなければ自分は安泰だった。
時代と言えばそうなのだろうが、舅自身も自分の息子(夫)を幼少の頃から妻である現姑に「任せられないから面倒を見なくていい」と言われ、一人息子の親ながらもその頃から関心が無かった様子だ。
舅の横で夫の小さい頃のアルバムを見た時も、「色んな所に行ったんですね」と聞いたところ、「さぁ?そんな所行ったかなぁ...?」と言う返事だった。
うっかりした度忘れもあるだろうが、舅はそれこそ姑と1週間も10日も行った海外旅行さえ薄っすらとしか覚えていず、写真を見せて初めて「そう言われたら行ったなぁ」と言う程度だった。
以前にも書いたが、動物園であったり水族館であったりデパートであったり、姑は孫連れで(私も荷物持ちで一緒に)行ったが、ビール片手に「僕はここで飲んどくから」と舅は毎度入口から入ってすぐのベンチで私たちが帰るまで座っていた。
外食しても家で皆で食事をしても(家では私は立たされているんですが)、姑が一人でペラペラと喋っているだけで、夫も舅も空返事ばかり。
夫も舅も、なんせ姑の好きな様にさせておけばそれでいいと思っていた。
驚く事に舅は、友人関係まで姑に決められていて、舅の仕事仲間が家に電話を掛けて来ても、電話を受けた姑が「あなたはまだ○○課に居るんですか? 出世コースから外れた方と、うちの主人を付き合わせる訳には行かないので、二度と電話しないで下さい!」と言い、電話を舅に代わる事無く切ってしまった事があった。
そして舅の定年退職後、「近所まで来たので、ちょっと顔が見たくて。」と、わざわざ家に寄ってくれた舅の元同僚を、玄関先で「あなたみたいに再就職の口も無い方と、うちの主人を付き合わせる気はありません!」と言って門前払いし、プンプンと怒って居間に戻って来た姑から、「お父さん! あんな人と付き合いせんとってね!」と言われても、黙ってうなづく舅だったので、とても驚いた事を覚えている。
私の長男が3歳の頃、夜間40度の高熱が出た事があった。
救急で行った病院で脱水症状が出て緊急入院になった際、舅が孫である長男の枕元で「今日は僕の誕生日やのに...」と口走った。
それがここに来て、あの元気だった姑が認知症になり、自分たちが姑の為に何かしなければならなくなるなんて、夫も舅も揃って思ってもみなかったんだろう。
姑が久しぶりに寿司が食べたいと言ったので夕食に用意したら、姑の横で手際よく缶ビールを開けて飲みだし、寿司をつまみだした。
舅に「お義父さん、自分だけが食べるんやなく、お義母さんの用意もしてやってね。」と言うとギョッとした表情になった。
まさか自分に役目が回って来ると思わなかった様子だった。
「はい、お母ちゃん」と言って舅は姑の前に箸を置いただけでまた食べ始めた。
私が舅に「小皿に醤油を入れてあげてね」と言うと、舅は姑の小皿に醤油を入れてまた飲みだす。
「お寿司も取ってあげてね」と言うと、今度は「自分の好きなもん取ったらええ」と姑に言う。
「自分で取られへんから取ってあげるんやん?」と言うと、今度はイラっとした様子で、舅は姑の小皿に2つも3つも握り寿司を積んだ。
「お義父さん、お義母さんに何が欲しいか聞いて、1つずつ取ってあげてね! お義父さんが認知症になった時、同じ事されたらどう思う?」と私が言うと、舅はハッと気が付いた様に「そ、そうか...、1つずつか...」と言って寿司を小皿から戻した。
その夜、私は夫と舅の前で今後の姑の介護について改めて話をする事にした。
続く
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