アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第16回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の下痢」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になってから、急に下痢しがちになった、腹痛や下痢が続いてつらいなどのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期は、ホルモンバランスの影響で下痢しやすくなることがあります。
私の対応したお客様でも、ちょうど更年期の年代の方で、朝から下痢や腹痛がひどくてつらいとお悩みの方がいらっしゃいました。忙しい朝にトイレに時間がかかり家事もままならず、お子さんの受験のピンチになって大変だったそうです。
そんなSさん(48歳)が漢方で下痢を改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1. 更年期の下痢の原因
更年期やプレ更年期の不調は、卵巣の老化による女性ホルモンの減少や、ストレスが原因です。
ホルモンバランスの乱れによって、自律神経系のバランスが崩れて腸のぜん動運動や便の水分量に不調をきたし、下痢が引き起こされます。
漢方医学では、泌尿器系、成長・発育・生殖をつかさどる機能をもつ「腎」が衰えると、温める力が足りなくなり、水分の代謝が乱れて下痢を引き起こすと考えます。
更年期になると、この「腎」のはたらきが自然現象として衰えてきてしまいます。
また、冷えやストレスや緊張による気(生命エネルギー)の不足や滞りも下痢の原因となります。
2. 母のひどい下痢と腹痛で子どもの受験がピンチに!
48歳女性Sさんのエピソードをご紹介いたします。
Sさんは、中学生と高校生のお子さんの4人家族。
二人のお子さんは3歳差でそれぞれ高校受験、大学受験を控えており、そのサポートを一生懸命頑張っているお母さんでした。
ここ1年で生理が早くきたり、しばらくこなかったりと月経不順になり、その頃から急に下痢しがちになってきたそうです。
特に、朝に下痢することが多く、お腹が痛くなることもあり、朝からトイレに長時間こもる日もあって困るということでした。
家族の朝食やお弁当の準備を間に合わせるために、毎朝6時前に起きてトイレの時間を確保しつつ、なんとか家事をこなしている状態とのことでした。
「もともと冷え性なのですが、下痢が気になりだした頃から冷えも悪化している気がします。冷えから下痢になるのではと思って腹巻やカイロでお腹を温めたりしているのですが、全く効果がありません。
二人の子どもはそれぞれ高校受験と大学受験を控えているのですが、先日、ちょうど二人の受験対策の模試が重なった日があって、朝早く出かける子どもたちのためにお弁当も作らないといけなかったんです。もちろんいつもより早く起きて準備するつもりでしたが、お腹が痛くて目が覚めて、その日に限っていつもよりも下痢と腹痛がひどくて・・・。なかなかトイレから出ることができず、準備が遅れてしまったんです。
なんとか遅刻寸前でギリギリ間に合ってほっとしたのですが、『お母さん、しっかりしてよ!受験当日でなくて本当によかった』という子どもの言葉にひやりとしました。
『また下痢がひどくなって、受験当日に遅れてしまったらどうしよう』と不安になり内科を受診したのですが、整腸剤が処方されただけでした。なかなか下痢が改善しないので、どうにかしたいとセカンドオピニオンで別の病院を受診したところ、漢方に詳しいお医者様で漢方を処方されました。
漢方の服用を始めると、まずじんわりとからだが温まるように感じました。下痢と同じくらいつらかった腹痛がだんだんと少なくなり、下痢も和らいでいきました。朝にトイレにこもることがなくなったので、時間に余裕ができて精神的にもとても楽になりました。
体質だからと思っていた冷えもかなり改善しましたし、漢方を飲んでいた方が体調がよいので今も続けています。おかげさまで、子どもたちの受験当日の朝もゆとりをもって準備することができ、二人とも無事に受験も合格しました!」
Sさんの嬉しそうな笑顔がとても印象的でした。
3. 更年期の下痢は漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による下痢かもしれません。
<これって更年期の下痢?チェックリスト>
・急に便の回数が増えて下痢気味になった
・冷えがひどくなり、下痢とともに腹痛もある
・暑くもないのに汗をかいたり、のぼせたりする
ただし、下痢が悪化する場合は、原因を自己判断せずに内科や消化器内科などを受診して検査してもらいましょう。
「できるだけ体に負担のない薬がいい」「飲み続けても大丈夫な薬が欲しい」
そんな方には漢方薬がうってつけです。
漢方は数千年の歴史を持つ伝統医療です。
これまで実に多くの人々のさまざまな症状を治してきました。
古臭いからあやしいというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、長年の臨床経験をもつ信頼できる医療です。
また漢方は、自然の草木や鉱物からできた生薬で作られています。
こうした自然のもつ力を上手に使うことは、私たちの体の摂理に沿った無理のないやさしい作用をもたらします。
とくに漢方薬は、もともとの体質だからとあきらめていたようなことや、検査では異常が見つからないような不調の根本解決を目指したいときに、その力を発揮してくれます。
また、食事の栄養バランスを意識したり、毎日運動を続けるのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の体質や症状に合うものを飲むだけなので、気軽に継続できるという点もメリットです。
今回Sさんが服用した漢方は「真武湯(しんぶとう)」という冷えやめまいを伴う更年期の下痢の症状に対してもよく使われる漢方でした。
真武湯は、からだを温めて腎を補い、滞った水の巡りを解消することで下痢を改善する漢方です。
更年期の下痢の改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
<更年期の下痢におすすめの漢方>
●食欲不振や胃もたれがあり、冷えると悪化する下痢の方:人参湯(にんじんとう)
気を補いお腹を温めて冷えを取り、胃腸のはたらきをよくして下痢を改善する漢方です。
●みぞおちのつかえや胸やけ、げっぷがあり、お腹がゴロゴロして下痢気味の方:半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
気を補い巡りをよくしつつ、胃腸の炎症を鎮めて下痢を改善する漢方です。
ただ、どのような体質がその不調を招いたのかは人によって異なりますので、ご自身の状況に応じた漢方薬を選ぶことが大切です。
症状だけを見て漢方薬を選択すると、合っていない場合には副作用のリスクも高まります。
できるだけ漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談の上で、ご購入ください。
自分に合った漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4. 長引く下痢の悩みは、漢方で体の内側からしっかり改善しましょう!
「最近、下痢ばかり続く」
「お腹が痛くて下痢で毎日がつらい」
その下痢の症状は更年期障害かもしれません。
漢方で体の内側からバランスを整えて、更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう!