アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。
前回の記事:「まだら認知症」の姑が、いよいよ深夜に隣近所のインターホンを鳴らして回るように.../かづ
姑の徘徊とまだら認知症の出ている時間が長くなり、私は自宅に自由に戻れなくなった。
子供達は学校からそのまま義実家に帰って来てもらい、その間に私は自宅に戻って必要な物を取りに行ったり家事をした。
私が居ない間は姑を長男に見ていて貰っていたが、まだ小学生にもかかわらず、孫が見ているからと思ってか、舅は全くの無関心だった。
長男と次男は姑がウロウロしだすと後をついて見てくれていたり、外に出て行きそうになったりベランダに出そうになると声をかけて止めてくれた。
何度も何度も舅に「お義父さんの奥さんでしょ!」と言っても、元から姑に無関心だった何十年もの結婚生活に加え、脳梗塞の後遺症で半身麻痺になっているせいか、自分は世話をして貰う側であり、世話をする側に回るなんて思っていなかったのだろう。
そうしているうちに、私は何度も自宅と行き来しながら用事をするのがキツクなって来た。
舅姑は息子達と一緒に夕食をとり、舅姑がお風呂の時間になると息子達は自宅に戻って寝る。
それから、舅姑を寝かせた後に夫が帰宅して食事をし、夫は自宅に戻る日々だった。
自宅の洗濯籠には汚れ物が積まれ、台所の荒い桶には食べた食器が入っているので、私は義実家で舅姑の世話をしているんだから、夫にそれくらいしてくれと言うと、夫は「仕事が立て込んで遅くなるから」と、会社の帰りに義実家には来なくなった。
夫は私と顔を合わせると手伝えと言われるので、以前よりも増して仕事を詰め込むようになり、いわば仕事に逃げているのだ。
戸口から戸口が2分の同じマンションとは言っても、夜中に夫が帰宅するまで子供達だけでは何かと不安なので、夫が休みの日に自宅から着替えなどを一気に義実家に運び込み、子供達も義実家に一緒に住んで登校する様になった。
要するに、夫だけが自宅で一人暮らしをする様になったのだ。
私はその頃、子供と一緒に寝室で寝ると、疲れから寝込んでしまい夜中に徘徊で出て行ってしまう姑に気付けないので、姑の横に布団を敷いて手首をタオルを繋げて縛って寝ていた。
日々の生活は、朝は舅姑と子供達に朝食をとらせ、その間に洗濯機を回す。
子供達を送り出した後、姑と一緒にベランダに出て洗濯物を干す。
私が物干し竿にバスタオル類を掛けて、姑に洗濯ばさみをつけて貰う。
たったこれだけの事だが姑にはなかなか難しくなってきていたので、目を離す事無く側に居させるのには良かった。
それが終われば次は姑を散歩に連れて行くか、買い物に連れて行った。
当時私はまだ車の免許を持っていなかったので、毎回バスに乗って姑を連れて行っていた。
「お義母さん、トマトを2個選んでください。」など、姑にも可能な範囲で選んで貰った。
子供ではないけれど、姑は、買い物の最後に大好きなカステラや、生クリームの入ったシュークリーム、一粒栗の入った栗饅頭を1つ買い、帰りのバス停でバスが来るまで缶コーヒーと一緒に食べるのをとても喜び、むしろそれが楽しみになっていた。
病院の通院も、毎度夫が休みを取れる訳ではなく、バスと電車を乗り継いで1時間半掛かる所を連れて行った。
そんな、ある「病院の予約の日」の事。
朝から警報が出てもおかしくないくらいの雨が降っていた。
けれどもその日に行かないと、次がいつになるのかもわからないし薬も足りなくなる。
仕方なく姑にレインコートの上下を着せて家を出た。
「おやつに缶コーヒーと栗饅頭があるからね」と言ったからか、姑はバスから降りて順調に電車に乗り継ぐ事が出来た。
目的の駅まで半分来た所で、姑は電車が止まってドアが開くたびに「降りる!!!」と叫んで飛び出そうとする。
手をしっかりと握って立ち上がれない様にするも、駅に着くたびに物凄い力で立ち上がろうとする。
やっとの思いで病院のある最寄り駅に着いた。
改札を出てそこから更に登り坂を15分ほど歩かなければならず、勢いを増した雨は地面を川の様になっていた。
「もう歩きたくない!しんどい!疲れた!」
突然姑が大きな水溜りの中に座り込んだ。
「お義母さん!そこ水溜りやから!立ってください!」
そう言って姑を抱きかかえて立たせようとするが、今度は水溜りで腹ばいになって寝そべろうとする。
私はずぶぬれになりながら姑を引っ張り上げたが、年寄りと言っても全身の力を抜いているので恐ろしく重たく、レインコートの上下は滑るので掴んでいるだけでも必死だった。
姑は再び座り込もうとするので、私とは姑をおぶって15分の坂道を登った。
続く
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