<この体験記を書いた人>
ペンネーム:おかあ
性別:女
年齢:46
プロフィール:夫(40歳)と中2男子と小5女子の2人の子どもと暮らす、まだまだ子育て真っ最中の46歳会社員です。
私が第1子を妊娠していた15年前の出来事です。
私が働いていた会社は、2000年から出産前後2カ月の産休と産後1年間の育休制度が設けられ、出産後も働き続ける女性社員は育休を取るようになり、私も取得をする予定でした。
会社には当時15人程の女性社員がいて、その中に40代後半の2人の女性の先輩がいました。
おふたりとも結婚、出産を機に退職する女性が大半だった時代に、お子さんが生まれてもそれらの壁を乗り越えて仕事を続けて来た方々だったので、私にとっては憧れの存在です。
私の妊娠が判明した際も、「頑張って仕事を続けるんだよ。出来ることは協力するからね」と励ましてくれて、とても心強く思っていました。
妊娠中はつわりがかなり辛かったのですが、上司(男性)の理解もあり、ときどきお休みをいただきながらも何とか働くことができました。
そして、いよいよ明日から休暇に入るという日のことです。
私は「今日までよく頑張ったね、元気な赤ちゃんを産んでね」とか、「復帰を待ってるよ」と声をかけてもらえるだろうという甘い期待を抱きながら、女性の先輩たちのところへ挨拶に行きました。
そこで私を待っていたものは、信じられない厳しい言葉でした。
「本当に1年も休みを取るの? いくら制度が出来たからって当然のように取るのってどうかしら」
「私の頃は、産休しかなかったから産んで2カ月で出てきたけど。ま、育休があったって、周りのことを考えたら私は使わないけどね」
「産む前からたかがつわりで休み取ってさ。この後、長く休むのによくできたよね。甘えるにも程があるよ」
「こんな風に思われてるって分かっても1年休む? 気になるなら休み切り上げててもいんだよ」
私は妊娠中、周囲の男性社員がとても親切にしてくれていたため、同性である女性は更に理解してくれているものと勝手に思い込んでいました。
確かに先輩方の時代は、男性社員の理解も今ほどはなく、休みたくても休めなかったかったのしょう。
そんな環境の中で頑張って来た先輩方からすれば、私は理解ある環境の中で当然のように権利を行使しているように見えて、腹が立ったのだと思います。
先輩方からの言葉を受けて、確かに恵まれた環境を当然のように思い、周囲に感謝する気持ちが欠けていたのかも知れないと反省しました。
とはいえ、育休を取得している人は既に数人いましたし、上司からも遠慮しなくていいと言ってもらえていたので、当初の予定通り育休を取り、復帰を果たしました。
復帰後も、子どもの急病などで休暇を取るたび、例の先輩方からは「私の頃はそんなことで休めなかった」等々、嫌味を言われ続けました。
つくづく女の敵は女だよな! と痛感しました。
今では私があの頃の先輩方の年齢に近づき、働く女性を取り巻く環境も更に変化してきました。
女性が働くことに対する理解が進み、羨ましいなと思う半面、女性にもより厳しく結果が求められるようになり、その時代、時代の苦労があるように思えます。
だから、私の頃はこうだったから同じように苦労しろ、と若い世代に嫉妬するのではなく、同性だからこそ理解し、寄り添える味方になりたいなと思っています。
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