母と仲が悪くはないのだけれど...自分が子育てをしてわかった「母への違和感の正体」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ゆり
性別:女
年齢:44
プロフィール:実母との微妙な関係に悩む主婦。夫と子ども2人の4人家族。料理以外の家事が少々苦手。

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毒親という言葉をよく耳にするようになりました。

色々とパターンはありますが、ひと言でいえば子供にとって害となる親を指すようですね。

自分はどうかと考える時、我が子との関係、そして母との関係が頭に浮かびます。

働き者で尊敬でき、明るい性格の母とは仲が良い方なのだと思ってきました。

ただ、母が家にいると感じるイライラ、何ともいえない不快感は何だったのか、結婚で家を出る時に気持ちがすっきりしたのはなぜなのか。

まだ若かった私は、それを深く考えることはありませんでした。

しかし子育て中に問題が生じるたびに、自分がどう育てられたのか、思い出すことになります。

例えば最近の子供達の金銭感覚には驚くことが多いのですが、我が家も例外ではありませんでした。

我が子のお金に対する考え方があまりに常識外れだと感じ、躾をしなければならないと思った時、私自身がお金の教育を全く受けてこなかったことに気がつきました。

子供の頃から目標に向けてお金を貯めた経験はなく、働き出してからも家にお金を入れなくてもいいと言われ、稼いだお金は遊びと買い物に使い果たしていました。

それでも足りずにカードを使い、ついには多額のカードの請求書が毎月届くことになるのですが、母親から何か言われることはありませんでした。

私なら娘がそんなことをしたなら、必ず話し合いをするだろうと思うのですが。

娘の進路に悩んだ時も同様でした。

将来のことや進路について娘と色々と話す中で、私は自分の体験したこと、周りの人の体験談などを娘に伝えて判断材料を与えていくようにしています。

ですが母とはこういう話をしたことがないことに気がつきました。

私自身は母から特に何か期待をされた記憶はなく、進路や将来の話をしたこともありません。

勉強についても完全に放置されていたのですが、いざ進路を決める段階になると、母の決めた学校以外は受験をさせてもらえませんでした。

こんな思いを娘にさせたくないと、進路を好きなように選ばせることは出来ましたが、そこで別の疑問が湧いてきます。

なぜ私は色々とほったらかされていたのに、進学先だけは口を出されたのかという疑問だけが残りました。

他にも色々と、子育てをする中で疑問が湧いてきました。

最近の母はあの時は辛かった、こんなに我慢していたというような暴露話をよくするようになりました。

特に仮面夫婦だった父との関係には苦労していたようです。

その話を聞くたびに母の頑張りに改めて尊敬の念を抱きます。

一方でそれだけ我慢してストレスを抱えていた母が、果たして子供に対して細やかに思いを馳せることが出来るものなのかと感じるようになりました。

また、母の辛さの分だけ、私が寂しい思いを抱えていたのではないかと想像するようになりました。

母への違和感の正体はこれだったのかもしれません。

毒親のエピソードについては、本当に酷い親がいるものだと閉口するものがたくさんあります。

私は可愛がられて育った方だと思い、親を毒親と呼ぶなどとんでもない親不孝ものだとも思います。

それでも私は感じてしまうのです。

母にとって大切だったのは私の人生の行く末ではなく、母自身の自己犠牲の上に成り立つ母の人生そのものだったのだと。

ふと思い出す、印象的な出来事があります。

当時流行していた奇抜なファッションをした私を見て、母は他人のふりをしたのです。

母が愛せる子供とは、母の理想のファッションをして、母の理想の進路に進む子供なのでしょう。

母はきっと、苦労はしたけど「自分の教育のおかげ」で、「理想の大学に娘を行かせることが出来た」と思っているのでしょうね。

誰もが不器用さを抱えながら、今を一生懸命生きているのだと思います。

だから私は複雑な思いを胸にしまいこんで、これからも父と母を大切にしていきたいと思っています。

でもときどき、自分が抱えてきた思いをぶちまけたくなります。

母への願いは一つ。

せめて一言、あなたにも辛い思いをさせたね、と言ってもらいたい、それだけなのです。

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