<この体験記を書いた人>
ペンネーム:つよぽん
性別:女
年齢:40
プロフィール:2児のアラフォーママです。亡き96歳祖父との思い出が詰まった、大切な宝物を見つけました。
96歳で祖父が亡くなって約4カ月が経ち、秋風が心地よい10月のこと。
里芋やさつまいもなど秋野菜の収穫が始まる季節です。
この時期には祖父が市場へ出荷できない、小さな里芋の皮を一生懸命に剥いていたのをよく覚えています。
皮を剥いだ里芋は祖母の手に渡り、ほくほくでおいしい煮っころがしやいもたきなどの和食料理に使われました。
小ぶりの里芋料理を食べた時に「秋が来たのだな」と実感したものです。
しかし祖父が亡くなってから、小さな里芋は手付かずのままです。
大きなカゴに山積みになった里芋を見て、とても寂しくなりました。
祖母も「今年はなかなか里芋料理を作るようにならんね...」と、寂しそうな表情を浮かべていました。
そしてもう一つ、祖父が秋になると毎年かかさず行っていたことがありました。
それはカラオケで使うDVD類の整理整頓です。
今まで集めてきたDVDやカセットテープ、レーザーディスクは100枚以上になります。
祖父は秋になると、そのコレクションを「よく使うもの」と「あまり使わないもの」に分けていました。
年に一度きちんと整理整頓することで、またやる気が増すのだとか。
そういうマメな性格は、見習わないといけないところです。
祖父は若い頃から歌うことが大好きでした。
本格的なカラオケ機器を部屋に設置し、仲間と集まって歌に興じるほどでした。
カラオケは祖父にとって大切な宝物でしたが、ほかに使い手が見つからないため、近々すべて処分する予定です。
処分するのは寂しいけど、仕方がない...。
そう思いながら、祖父のカラオケルームを眺めていた時、あるカセットテープのタイトルに目がいきました。
祖父の字で「カラオケ大会練習」と大きく書かれていて、よく見ると私の名前も記されていたのです。
まったく記憶になく、何が録音されているのだろうかとドキドキしながらカセットテープを取り出し、再生してみることに。
すると...ぎこちなく歌う幼い声が録音されていました。
まだ幼稚園くらいのようですが、私の声でした。
「上手! その調子じゃ、いい声しとるのう」
優しい声で褒めてくれる、祖父の声も録音されていました。
両親に聞いたところ、幼稚園でカラオケ大会があり、祖父がその練習に付き合ってくれた時の様子だとか。
祖父に教わりながら演歌を歌っている、へんてこな私の声に思わず笑みがこぼれました。
まさかこんな宝物に出会うとは思いもしなかったです。
幼い私と祖父の思い出が記録された、捨てることはできないカセットテープ。
処分する前に見つけられてよかったです。
自宅に持ち帰り、私の宝物として大切に保管しています。
関連の体験記:「お嫁さんがかわいそうよ」頑なに同居を拒む母に、兄夫婦が思いついた「ほっこりする暮らし」
関連の体験記:弟の妻が幼い子供2人を残して亡くなってしまい...80歳の両親が「子育て」に乗り出した結果は...⁉
関連の体験記:もう我慢できない!「できちゃった婚」の私を快く思わない義両親の矛先が、ついに小6の長女に...
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。