<この体験記を書いた人>
ペンネーム:おだまき
性別:女
年齢:43
プロフィール:田畑に囲まれたのどかな地域で、77歳の義父、73歳の義母、45歳の夫、7歳の長男と同居しています。
庭造りに熱心な義父ですが、庭の手入れを優先しているせいか、植物への愛情が感じられない行動がしばしば見受けられます。
義父は、ショベルカーで岩や庭木を掘り起こして頻繁に移動します。
庭造りが好きとはいえ、大がかりな作業をするものだなぁと驚いていました。
庭の模様替えのために、やむを得ず庭木を移植するのかと思っていましたが、どうやら違ったようです。
「高木になると手入れが大変だから、あまり育たないようにしているんだって」
ある時、義母がため息交じりに説明してくれました。
樹高の低い木を選んで植えればいいのに、本来であれば大きく育ちたい木の成長を止めようとしているなんて、木がかわいそうだなと感じます。
庭には面積の8割くらいに砂利が敷き詰めれており、その周囲に大きな石が配置され、幅の狭い花壇に植木が並んでいます。
それも木々が根を広く張らない工夫なのかもしれません。
しかし、義父の庭造りの犠牲になったのは、木々だけではありません。
「好きな花を植えても、文句を言われたり抜かれてしまったりするから私は花を諦めたの。でもあなた達はここのスペースを使って好きな花を楽しんでね」
義母はそう言って、私達夫婦が使うための花壇を与えてくれました。
花を諦めたなんて不憫に思えたので、「お義母さんが気に入った花も植えましょう」と言って、義母と一緒に選んだ花を買って植えました。
すると義父が「なんで一重の花なんか買ったんだ。八重を選ぶべきだろう」と言ったので、義母と私は顔を見合わせました。
また、私が育てていたハーブがやっと大きくなってきたなぁと喜んでいたところ、いつの間にか義父が新しく作った花壇へ移植されていました。
義母が言う通り、気に入らないと文句を言い、気に入ったら自分の好きな所へ移してしまうのでした。
ある日、庭の方から轟音とガスのような異臭がしたので急いで目をやると、義父が大きなバーナーで雑草を焼き払っていたのです。
音と臭いがひどすぎて、息子と私は自動車に乗って避難しました。
しばらくして帰ってくると、私が花壇で育てていた小さな花々はすべて燃やされてしまい唖然としました。
どうやら義父は雑草だと思ったようです。
そういえば、父が植えた木の周りには背の低い草花は生えておらず、足元は殺風景なのです。
植えてある草花は、50cm以上になるキク科の花ばかりです。
おそらく、義父にとって大切なのは植物よりも石なのです。
石を活かした庭を作りたいのでしょう。
植物は石を引き立てるだけに植えているのかもしれません。
義母も夫も、木陰や土の匂いを感じられる涼しげな庭を求めていますし、私も同感です。
しかし実際の庭は、砂利と岩がゴツゴツと並ぶ中に、幹だけが太くなって枝葉を刈り込まれた木と大ぶりのキクが並んでいる、日光の照り返しが厳しい殺風景な空間なのです。
義父名義の土地なので誰も何も言えませんが、独りよがりな庭造りをしている義父には、ため息しか出ません。
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