<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女
年齢:51
プロフィール:51歳の兼業主婦です。最近家で犬を飼い始めました。
私は51歳の兼業主婦です。
旦那(52歳)と結婚してからずっと、旦那の実家で義両親と一緒に生活してきました。
義父(78歳)は農作物などを作るのが趣味ではありますが、あまり手先は器用な人ではありません。
畑のミニハウスの組み立てやビニール張りですら四苦八苦し、義母や私に手伝いを頼んでくるような方です。
先日、旦那が犬を拾ってきました。
雨の中、箱の中に入れられずぶ濡れになっていたその犬は最初かなり震えていて「もうダメかな?」と正直思ってもいたのですが、病院に連れて行ったり薬を飲ませて看病すると元気になり、家で飼うことになりました。
初めの頃は家の中で飼おうかという話もあったのですが、お世話になった獣医の先生に聞くと「雑種のようだが、大きくなるかもしれない」とのことで、外で飼うことにしました。
最初犬を飼うことに関しては、義父は「ふーん」という態度で、反対もしませんでしたが、あまり興味もなく我関せずといった感じでした。
もちろん旦那が自分が拾ってきたので自分が世話をすると言っていましたし、私も犬が好きだったので、基本的には義両親の手は借りずに飼っていくつもりでした。
しかし、ある日私が仕事から帰ると庭に突然犬小屋が出来ていました。
旦那も私もちょうどその頃仕事が忙しく、まだ犬小屋の用意ができておらず、庭の縁台の下が犬の寝床になっていました。
数年前に亡くした私の実父は日曜大工が得意でよく鳥小屋なども作ってくれていたのですが、あいにく私も旦那も作ったことがなければ作る時間もなさそうな時期。
今度の休みに近くのホームセンターで、できているものを買おうと言っていた矢先のことでした。
しかもよく見ると屋根のペンキはちょっとまだらになっていたり、釘が斜めに打ち込まれていたりして、手作りであることがすぐわかりました。
仕事から帰ってきた旦那に聞くいても「知らない」ということで、まさかと思い、畑にいた義父に声をかけると「いつまでも家がないのは可哀そうだろう」と笑いました。
なんと義父が作ってくれていたのです。
私はその時は義父も犬が好きだったのかなと思ってお礼を言いましたが、その夜、居間で指に絆創膏を巻いている義父を見ていた義母が、こう私に耳打ちしてきました。
「お父さんね、あんたのお父さんなら犬の家作ってくれたかもしれんってあんたが犬撫でながら寂しそうに言いよったん聞いて、『そんなん言わんでもわしが作ったる』って内緒で作ってたんよ」
なんと義父は先日私が犬を撫でながら「私のお父さんが生きてたら作ってって頼めたのにね。ごめんね。お家もうちょっと待ってね」と言っていたのを聞いていたのです。
そして、私を喜ばせようと慣れない日曜大工をして指にケガを負いながら犬小屋を作ってくれたのです。
ちょうど実家の父の遺品を整理したところだったので、父のことをよく思い出していた時でした。
私は本当に嬉しくなりました。
この20数年、義実家に嫁いだ身としては、正直に言えば良いことばかりではありませんでしたが、旦那を選び、嫁いだのがこの家で良かったと心からそう思えた瞬間でした。
今日も家の庭先には、義父の作ったちょっといびつな犬小屋が置かれています。
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