<この体験記を書いた人>
ペンネーム:梅の実
性別:女
年齢:48
プロフィール:夫と2人、共働きでのんびり暮らしています。職場には様々な世代がいて人間ウォッチで人生の勉強をしています。
去年末までお世話になっていたパート先の先輩Mさん(50歳)はご主人と2人暮らし。
フルタイムで働きながらも家事全般をこなし、オシャレにも余念がなくいつも明るいいい人でした。
ただ、Mさんにはひとつだけ困ったことがありました。
香水の匂いがきついんです......。
しかも爽やかな柑橘系ではなく、昔流行った高級ブランド物の甘ったるい匂いで好き嫌いが別れそうなもの。
周りがそのきつい匂いに慣れることはなく、ミーティングや食事で一緒だった後には「ちょっと、きついよね......」とみんなで話をしていました。
Mさんはそれ以外は本当にいい人なのです。
そのため上司も同僚もどんなタイミングでどう言えば傷つけずにすむかわからず、日々が過ぎていました。
そして、私がそのパート先に勤めて半年ほど経った1月のこと。
24歳の女性新人Kさんが入社し、M先輩が教育担当になりました。
Kさんは素直で明るい性格で、新人教育が終わった2カ月後には、親子ほど年の違うM先輩と2人でランチに行ったり、仕事帰りに飲みに行ったりするほどの仲良しに。
そんな2人をみんなで微笑ましく見ていたある日のことです。
部署ミーティングが終わったあと、KさんがM先輩と何やら楽しそうに立ち話を楽しそうに始めたそのとき、Kさんのくしゃみが止まらなくなったのです。
心配そうに「大丈夫?」と話しかけるM先輩に「そろそろ花粉の季節なのかもしれません」と答えるKさん。
M先輩を含め話を聞いていたみんながそうかもう3月だしねえ、と思っていました。
そしてその翌日、またM先輩と話していたKさんが今度は目がちょっと痒いと涙目になったのです。
「もう花粉症はじまっちゃったのかしらね?」
「そうなんですかねー、けどまだ外歩いてても自宅でもまだそんなにならないんですよね」
「じゃあホコリかなあ。オフィスはちゃんと清掃してもらっているけど」
「うーん、わからないですけど。なんかときどき......」
そんな世間話をしていた2人。
話題はM先輩が首に巻いていたスカーフの話になりました。
「M先輩、今日巻いているスカーフ素敵ですね。そういう柄の私も欲しいと思っているんですけど似合うかなあ」
「似合うんじゃない? つけてみる?」
「わ、いいですか? ありがとうございます」
KさんがM先輩のスカーフを自分の首に巻こうとしたその瞬間! またしてもKさんくしゃみ連発で涙目に。
「すいません、なんでだろうまた出ちゃった......。うーん」
苦しそうなKさんと心配するM先輩を見ていた私たちは、心の中で「M先輩の香水だってば!」と突っ込んでいたのですが、Kさんはなんでだろ? という顔。
なのですが、そのあと事態が動きました。
「わ、M先輩このスカーフいい匂いしますね!」
そう言った直後にまたくしゃみ連発をするKさん。
そこでM先輩がハッとなり、ちょっと気まずい顔でKさんに、
「もしかしてこの香水でくしゃみが出ちゃったのかなあ」
「えーそうなんですかね、けどすごくいい匂いですよ! 大人の香りっていうんですかね。私なんかにはまだまだ早いような感じ。私、アレルギーで人より敏感な時期があるからくしゃみが出ちゃったのかも......。なんかすいません!」
Kさんは笑顔で明るく話していました。
そしてその翌日、なんとM先輩が香水をつけずに出社してきたのです!
こっそり休憩時間にKさんに聞いたところ、M先輩の香水きついなあと思っていたけど、周りの皆さんも何も言わないし、花粉症が始まるタイミングだし、これに便乗したら話しやすいかなと思ったそうで。
なお、後日M先輩と飲みに行ったKさんから聞いたのですが、実はM先輩は旦那さんから香水がきついと言われたことがあり、ムキになってつけていたらしいです。
天然ではなく、意外と計算高かったKさん。
だけどおかげでM先輩も私たちの悩みも解消されました!
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