「今の私ならこうするのに!」 近距離介護で過去の自分に伝えたいこと/石塚ワカメ

みなさまこんにちは。実母の近距離介護を行っていた石塚ワカメです。

前回の記事:ついに訪れた近距離介護の限界...。和やかに過ごした最後の夜と、バスであふれ出た涙

実母はその後、ショートステイで1週間、介護老人保健施設で1ヶ月、グループホームで2年間と場所を移し、今は特別養護老人ホームに入所しています。

たびたび子どもたちを連れて面会に行ったり、外食に連れて行ったりしていましたが、徐々に...そしてあるときから急激に弱ってしまい、現在は歩行も会話もほぼできなくなってしまいました。
大好きな孫の顔を見てもわずかに口元を緩ませるだけになり、ここ数日はとろみ食の飲み込みも怪しくなってきています。
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69歳で認知症の発症に気づいてから、4年...。

これが一般的に早いのか遅いのかは、わかりません。
ただ、介護に関わったご家族の大半がそうであるように、大きな後悔が残ります。

実母を介護する上で、私に最も足りなかったのは、「介護への覚悟」だったのではないかと思います。
同居せずに介護をすると決めたなら、部屋にセンサーや監視カメラをつけたり、GPS内蔵の靴にしたり、アパートの鍵をスマートロックにしたり、それなりの設備投資をすべきだったと。
認知症以外はまだ足腰が元気な実母の介護が、この先何年続いて、介護費用がいくらかかるかなどの見通しをつけられなかった私は、設備投資になかなか踏み切れなかったんですね。

ものによってはランニングコストがかかるので金銭的には厳しくなりますが、それなりの設備を整えることにより、主介護者のメンタル面の余裕にも繋がっていたのではないかと、今だから思います。
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あとは、介護に限界を感じる前に、ショートステイなどを利用して、もっと息抜きをすればよかったととも、強く思います。

実母の近距離介護中にショートステイを利用しなかったのは、金額面の不安や実母の環境の変化による混乱を恐れていたのはもとより、私が手続き関係が極端に苦手だったこともあります。

だってさー、新しい介護サービスを利用するってなると、いちいち面会して説明聞いて契約してって、なかなかめんどくさいんですよ、これが!(←手続き苦手)

利用料も、要介護度と減額認定と食費やらとややこしい表になってて、最終的にいくらかかるのかよくわかんないんですよ!(←書類も苦手)

...というようなことをTwitterでボヤいていたら、フォロワーさんに「小規模多機能型居宅介護」の存在を教えてもらいました。

「小規模多機能型居宅介護」は、デイサービスと訪問介護とショートステイがひとつの事業所で利用できる地域密着型の介護サービス。

利用料が月額定額制なので、毎月の介護保険利用限度額を上回る心配もありません。

普段通っているデイサービスと同じところに宿泊できるので、実母の混乱も少なくて済みそうです。

ただ、「小規模多機能型居宅介護」で介護保険利用限度額を使い切ってしまうのでその他の介護サービスを利用できなくなるといったデメリットもあるみたいです。
私が「小規模多機能型居宅介護」を知ったのは、介護の限界を迎える直前だったので利用するには至らなかったのですが、興味がある人は調べてみるといいかもしれません。

もうひとつ、「iNPH(特発性正常圧水頭症)」ってご存知でしょうか?

いわゆる"治る認知症"と言われているやつです。
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ざ~っくり言うと、何らかの原因で脳室に脳脊髄液が過剰に溜まってしまって、認知症、歩行障害、尿失禁といった症状が出だすそう。

そして、問診や脳の画像診断、髄液検査などをして「iNPH(特発性正常圧水頭症)」と診断されたら、手術で脳室に管を通して、たまった脳脊髄液を体のどっかに流してやる...といった、わりと新しい治療方法らしいです。

iNPHの存在は、実母の近距離介護中にたまたま見ていたテレビで知りました。

実母は認知症発症とともに、早い段階からの尿失禁、ロボットのような歩き方(じきにガニ股すり足へ)という三大症状がバッチリあったので、かかりつけの認知症外来の先生に相談したことがあります。

しかし、症状や脳の様子などを見てあまり当てはまらないかもと診断されたのと、手術になったら数日の入院とつきそいが必要と言われて、手術には至りませんでした。

このときの私は、ダブルケア状態の介護生活に疲れ果てていて、「もし治ったとしてもまた悪化したら、この生活をちょっと巻き戻しするだけなのでは...。それは、以前から口すっぱく『もし私が病気や怪我で寝たきりになったら延命治療とか一切しないでさっさと死なせて!』と言っていた実母にとっても、果たしてベストな方法なんだろうか...と尻込みしたことも大きいです。

認知症が進み食事の摂取すらあやしくなってきた今、ようやくiNPHでの治療に動き始めたところです。
実母の今の体調では、検査や入院負担だけでも大きな負担になるかもしれない。iNPHかどうかもわからない。たとえiNPHと診断されて手術をしたとて脳の萎縮もかなり進行しているので、巻き戻しになるだけかもしれないし、早送りになるかもしれない。
けっきょくは、この先も増大し続けるであろうモヤモヤを少しでも払拭したい、という私の自己満足に実母を付き合わせるだけなのかもしれません。
でも、また実母の笑顔を見れるのならば、たとえほんの少しの可能性でもできることはしたいのです。

他の病気と一緒で、iNPHも早期発見、早期治療をするに越したことがないので、もし症状が疑われるかたは早めに主治医に相談してみることをおすすめします。

子育ても、介護も、正解がない。
どんなにうまくやった人も必ず何かしらの後悔が残る。
─と、諸先輩方からよく伺います。

私に至っては間違いだらけの介護で、記事を書きながら「おいおい、もっとうまくやれよ!」「今ならこうするのに!」と、後悔の嵐!
もしも、近距離介護をしていたときの過去の自分に1つだけ何か伝えることができるのであれば...

とりあえず余裕を作れ!!
無理にでも作れ!!
そしたらちょっと見えてくるものがあるから!!

と言いたいです。

現在、ご家族の介護に関わっていらっしゃるかたは、まずはご自身を第一にいたわってあげてくださいね。
それでは、今まで私のつたない近距離介護の体験談を読んでいただき、ありがとうございました!

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健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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石塚ワカメ

70年代生まれのイラストレーター。二児を育てつつ、近距離に住む実母の介護も行う、仕事・育児・介護のトリプルハードワーカー。ブログ「ワカメ絵日記」を運営。著書に「妊娠さらし絵日記(飛鳥新社)」「毎日が育ジーザス!!(主婦の友社)」がある。

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