認知症テストも憮然とした態度。そしてほぼ正解。母、やればできるの?普段はわざとやらないの?/うちの親にかぎって!

こんにちは、松風きのこです。母の認知症に気づいた私を悪者扱いし、いっこうに病院に行ってくれない母を福岡から東京に呼び寄せ、あの手この手で説得。逆に私の若年性認知症を診てもらい、その付き添いついでに母も受診する、というテイでやっと合意を取り付けました。

認知症テストも憮然とした態度。そしてほぼ正解。母、やればできるの?普段はわざとやらないの?/うちの親にかぎって! pixta_26754643_S.jpg前の記事「やっと認知症の病院に。嫌がる母をどうやって連れて行く?/うちの親にかぎって!」はこちら。

 

しかしいったいどんな病院に行けばよいのでしょう?ネットで神経科とか精神科とかいろいろ調べたけど、母のような症状というか兆候の人が、何科を受けるべきなのかさっぱり分からない...。

そこで、近くに住む友人で、会社勤めをしながらひとりで認知症のお母さんの介護をしているKちゃんに相談し、認知症専門外来のあるクリニックを紹介してもらいました。

予約の時にあらかじめ「母が受診したがらないので私がダミーで...」と伝えておいたのですが、そういうケースはよくあるのか向こうも心得たもので、「早めに分かれば予防にもなりますし、お母さまもご一緒に」とさりげな~く検査を誘導してくれました。

でも母は疑り深く、いくつかの問診にも「なんでこんな小学生みたいな問題を解かないけんと!?」と憮然とした態度。ハラハラ...。そして計算や記憶力の問題でも、ほとんど間違えない...。100から7を引いていく問題でも、そろばんの仕草で指をソラで動かしながらスラスラと回答。三つ子の魂百までとはこのことか。ていうか母、やればできるじゃん!いつもはボケたふりしてるだけなの!?と思うくらいシャッキリ。私は79、72くらいからモタモタしはじめたのに...うーん、やっぱり認知症は私のほうなのか? 

 

「入れ歯なんかありませんっ!」この期に及んで隠そうとする母と、検査前にプチ格闘。

ところがMRIを撮る段階になって、看護師から「金属がついたものがあったら外してくださいね。入れ歯などもありませんか?」と言われた母は「そんなもの...ありません」と口に手を当てて挙動不審に。

すると看護師さすがのプロ!何かを察知したのか「ちょっと失礼!」と、がばっと母の口を開けて「ありますね。奥に2本」。

えっ!?そうだったの??私も母に(部分)入れ歯があるなんて、今日の今まで知らなかった。というか東京に来て2週間、1度も入れ歯を外したことなかったけど、それって大丈夫なんだろうか!?(だいじょばない)

母「失礼なっ!入れ歯なんてありません!これは外れないものなんです」
そんな入れ歯、聞いたことありませんが!?

看護師「検査の時に金属があると大変なことになるので、こちらで外させてもらいますね~(にっこり)」と、ジタバタ嫌がる母を笑顔で押さえ、優しく外してくださいました。
この期に及んで入れ歯が恥ずかしかったのか、本当に忘れていたのかは分からないけど、とにかくこの件で、問診の正解そっちのけで認知症の疑いは強まった(?)かも!?

認知症テストも憮然とした態度。そしてほぼ正解。母、やればできるの?普段はわざとやらないの?/うちの親にかぎって! up第16話.jpg 

足腰が痛いのも、寝てばかりいるのもすべて認知症のせいだった!?

ひと通り検査を終えると、医師は「レビー小体型認知症ですね」と即答!
「歩くとき、すり足で前かがみになっているでしょう?どこか痛いところがあるのではないですか?」と、医師は診察室に入ったときから母の動きを観察していたのです。

これまで長年悩んできた、体のあちこちが痛いのは、認知症のせいだったのか!物忘れだけじゃない、痛みを感じる認知症もあるんだ!目からウロコ。

あんなに受診を嫌がっていた母も、「そうなんです!今日はつま先が痛くて...!」と痛みを分かってもらえたことで安心したのか、すっかり医師を信頼しきった様子で、ぜんぜん関係なさそうな悩みまで打ち明けていました。病院、混んでいるのにと私は恐縮しましたが、医師は親身に聴いてくれていました。若い女性の医師だったことも、母が安心して心を開いたポイントだったかもしれません。なにしろ母は女性の方が打ち解けやすいのです。

レビー小体型認知症は、調子の良いときと悪いときの落差がはげしいけれど、良い状態を積み重ねていくことは可能だということ。そのためにはやはり「食べて、外に出て、歩く」のがイチバン。整形外科の名医に言われたのと同じことでした。歩くだけで、体の痛みも認知症も解決できるなんて。前の状態の戻ることは難しいけれど、薬が合えばこれ以上進行させないように食い止める、また進行を遅らせることはできる...かもしれない。

パアアー!!今まで真っ暗な洞窟にいたのに、出口から光が差してきたような気がしました。

※余談ですが私の診断結果は認知症ではなくADHDでした...(サラッ)。

 

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イラスト/にのみやなつこ

 

 

松風きのこ(まつかぜ・きのこ)さん

大学進学で上京し、広告制作会社でコピーライターを経験したのち、広告、雑誌を中心としたフリーライターに。父(82歳)母(81歳)は福岡在住。5年前、父が頸椎の手術をしたのを機に、それまで年に1週間程度だった帰省を3~4ヵ月間に増やし、さらに母が認知症と分かったため、東京と福岡を往復しながら遠隔介護中。母が認知症だとは気づかずに過ごした数年の間に、周囲がみんな逆効果の対応ばかりしていたことに思い当たり、この体験記を書くことに。

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