こんにちは、ブログ「キッチン夫婦」を運営している夫のKです。
前回の記事:「今誰と話してたの?」セールス電話でも親しげに会話しちゃう父にヒヤヒヤ!/キッチン夫婦(妻)
今回はたびたび登場する私の父の話。
現在父は86歳、母は83歳で2人暮らし。小さな洋服屋を二人で経営し、兄弟3人を育ててくれました。
父は頑固で超真面目、石橋を叩いてもなお渡らないような性格。宮城県に住んでいますが、東日本大震災の際には、日頃から水や食料品、灯油などの備蓄品をたくさん用意していたため、困る事が少なかったほどです。
また手先が器用で自分一人で小さな家を作れる腕があります。それに家の掃除、手入れも全て自分でやります。
それだけ器用な父ですが料理だけはしません。 外で飲み歩く事はまずせず、母をいつも口うるさく怒っているわりには、毎日お酒を飲みながら母の手料理が何よりも楽しみで「お母さんの料理は美味しい、美味しい」と言っていました。
そんな風に母の料理を唯一の楽しみのようにしていた父ですが、2年ほど前からなかなか食べられなくなってしまいました。それは母の物忘れが激しくなり、特に火の始末が心配なため料理を作らなくなったからです。
父は料理をしたことがないのはもちろん、食料品の買い物も母に任せきりだったし、レンジを使ったり、皿を準備をしたこともありません。そして運転免許も返納済み。
こうなっては料理をするどころか食材の買い物をするのだって簡単にはいきません。
これがもし若い頃からやっていたなら、そこまでの抵抗感や辛さを感じなかったのかも知れません。
こうした中で、両親に宅配弁当をすすめた時がありました。
最近の宅配弁当はかなり充実しています。健康面からバランスを十分に考えたメニューだったり、好みで和食、洋食、中華も選べますし、私達も味見をしましたが美味しいと思います。
これなら買い物もすることもなく、片付けも簡単で両親には最適だと思い何社か試してもらいました。
しかし父がなんと言ったかというと...
「さっぱり美味しくない。こんな鳥のエサのようなご飯は食べたくない」
「は~?鳥のエサ?不味くないでしょ、しかも鳥のエサなんてひどすぎる!」心からそう感じました。でも父は嫌らしく頑として拒否されました。
宅配弁当で少し解決するかもしれないと期待した私達はがっかりしたわけですが、かと言ってほおっておくわけにもいきません。
昨年は週に1度、作り置きおかずを7品ほど届けて食べてもらいましたが、これは2ヶ月でいらないと言われてしまいました。
宅配の弁当も作り置きも拒否した両親。
しかし今年に入ってから会う度に父が、「食事の準備が辛い辛い、大変だ」と繰り返すのです。だから宅配弁当や作り置きを食べればいいのにな、と思いつつも、父は頑固だし今さら意見を曲げるはずがありません。
そうは言っても、やはり見るに見かねて妻と相談。
週1回、今度は作り置きではなく、食事をすぐに食べられる状態で出してみることにしました。自宅で下準備をし実家の台所で仕上げをし、皿に盛り付けしてテーブルセット。結果、3ヶ月を過ぎても両親に喜んでもらっています。
父のほころんだ表情も本物でした。
箸置きは毎回妻が手作り、これは母に大好評で「今までの箸置きは全てとってるよ」と言っています。
妻は、初めは夫婦で色違いの箸置きをプレゼントしようかと思ったそうですが、洗ったりしまったりするのが面倒かも、人にもらった物だとぞんざいに扱えないしいらなかったら邪魔になるだけかも、そう思い、使ったら捨ててもらってもいいようにと折り紙で作ることにしたそうです。
これまでの宅配弁当や作り置きとは何が違うのだろうかと考えてみました。
まずは、作りたてであったかい食事を食べれること。 そして"見た目"というのも関係しているようです。宅配のお弁当は恐らく父の場合、プラスチック容器に入っているのが嫌なのでしょう。
母の料理が大好きだった父は、出された料理の盛り付けや彩りなどを通して、作った人の顔が見え気持ちがこもっていることを感じていたのだと思うのです。
確かに贅沢と言えば贅沢ですが、愚痴は言っても私達子供達に頼ろうとしてくるわけでもないので、非難はできません。
父は86歳になっても、家の掃除や手入れをこまめにしています。ちなみに最近、玄関の入り口でつまずくと言い、きれいな踏み台を作っていました。これは長年好きで取り組んできたことなので、まったく苦痛にもならず普通にこなしています。
一方、食材の買い物、おかずを温める、皿を準備するなどの今までやってきていない行為は、簡単な事でも苦痛に感じるのだと思います。
誰でもみんなとは言えませんが、自分のこととして想像してみても、80歳を過ぎてから新しいことを毎日の生活の中でやっていかなければならなくなるのは苦痛になるのだなと知りました。
今回は山形風芋煮を紹介したいと思います。
東北では芋煮会が秋の風物詩。 「山形の芋煮はね、牛肉と醤油でね、また美味しいんだ!」と言って父にも喜んでもらえました。
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『山形風芋煮』
材料(4~5人分)
里芋・・・1Kg
こんにゃく・・・1枚
牛バラ肉・・・600g
長ねぎ・・・2本
しめじ・・・1袋
出汁しょうゆ・・・90cc
水・・・1800cc
酒・・・大さじ1
砂糖・・・大さじ1
作り方
①鍋に水を入れて沸いたら皮をむいた里芋を入れる
②下茹でをしたこんにゃくを手でちぎって加える
③牛バラ肉の半分と出汁しょうゆ、酒、砂糖の半分程度を入れ、里芋に火が通るまであくをとりながら煮る
④里芋が煮えたら、残りの牛バラ肉、しめじを入れ、残りの出汁しょうゆ、酒、砂糖を加え味をととのえてさらに煮る
⑤斜め切りにしたねぎを加え、ひと煮立ちさせたら出来上がり
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