<この体験記を書いた人>
ペンネーム:マカロン
性別:女
年齢:56
プロフィール:子育てが終わって息つく暇なく介護に突入した昭和世代です。
年を取れば誰しも訪れるであろうシモの緩い話。認知症で要介護2の義母(81歳)のお世話をしていたときにも何度もありました。もちろんリハビリパンツですから履き替えれば大したことではないのですが、こと大きいほうに関しては履き替えるだけでは済みません。おそらく本人も気づいているんじゃないかと思うのですが、そこはプライドが許さないのか、自分ではどうしようもできないのか、自己申告は皆無......。
「くさい」という言葉は息子が言えても嫁は言えないのが実情。変に気分を損ねてしまうとテコでも動きませんから、そこは腰を低くやんわりとアプローチ。「申し訳ないんですけど」から始まり「なんとなくニオイがするので、少しみさせてもらってもいいですか?」とズボンの後ろを少し引っ張って確認。間違いなく使用後状態ならば量が多かろうと少なかろうとあくまでも「少し出ちゃってますよ」と事実の告知。でもそこは認めたくないヒトなので「このままにしておくとかぶれてしまうんじゃないかと心配」と周りから攻め「お手伝いしますのでお風呂場に行きましょうよ」と誘導。風呂場で脱がせてシャワーできれいに洗ってあげるのです。「あら?ちっとも気がつかなかったわ」から始まり「こんなことは初めてなのよ」が定番なのは、義母の認知症の良いところ。何度あっても「初めて」なのは幸せなことです。そこで終わればいいのですが「あなたもこうなるから」となぜか毒をはくという......。そこに「ありがとう」は絶対にありません。もちろん、その後の風呂場の掃除や現物が入ってしまった自分の爪や手に残るニオイを取るのも大変な作業。ヘルパーさんや看護師ではないので、医療用の手袋は使いません。風呂場直行の事後処理だけでもつらいのに、汚れた洋服や布団などの洗濯というオプションも付いてくればさらに落ち込みます。これらは何の報酬もないのですから、究極のボランティア。
そんな緩いお腹の義母、実はひどい便秘なのです。出されている薬はほぼ下剤。期限の切れた市販の浣腸がたくさん買い置きされていたところを見ると、ずいぶんと前から便秘だったのではないかと思うのです。事実、薬を飲んでいても効いていないのか時折詰まることも。訪問看護のナースに来てもらうこともありますが、ナースの指示で私が掻き出したこともあります。出口をふさぐほどに積もった排出物は、ウサギのそれをペットボトルに無理に押し込んだような感じで、簡単には出てきません。そのために2時間近くもトイレに籠ることもありました。
たかが便秘、されど便秘。出ないと機嫌が悪くなり、食欲も落ちて元気がなくなります。一度1週間近く出なかったことがあり、その際に訪問診療の医師に叱られたのは介護する側。いくら食事に気を遣っても次第に出なくなることが増え、週に一度の訪問看護で下剤を入れて強制排出。かと思うと、前述したように簡単に漏れてしまうこともあり、デモノハレモノ予測不可能。まるで仕掛けられた爆弾。それでいて出ないと困るし、出ても困るという何とも扱いに困るシロモノ。
年を取れば仕方がない現象が増えてくるのも避けられないことです。実は私も便秘傾向。今ならまだ間に合う? 薬に頼らないで、ヨガなりウォーキングなりで内面から腸の動きをよくする努力をしています。加齢に伴って体中の筋肉が緩んでくるのに、薬などで自分のペースで排泄できないのもつらいこと......義母の姿から学んでいます。
関連記事:行方不明...と思ったら知らない家でお茶!?認知症の義母に振り回された7年間
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。