<この体験記を書いた人>
ペンネーム:やまと
性別:女
年齢:40
プロフィール:夫と二人暮らしの主婦です。
70歳の母は80代の父と二人暮らし。
同じ都内ですが、離れて暮らしています。
高齢なので、コロナ禍の今は極力外出しないようにステイホームを心がけています。
母の趣味は朗読で、もう25年以上続けています。
地域のサークルに入り、練習会をしたり高齢者施設でボランティアをしてたりしていましたが、コロナ禍の今はどちらの活動もありません。
家で自主練習をしたりラジオドラマを聞いたりして勉強しているようですが、やはり人前で披露することがないと寂しいようです。
電話で話しても、よくため息をついていたので少し心配していました。
好きだった朗読をなんとかやらせてあげたい。
しかし、外出を控えている今はどうにもできない。
そんなことでモヤモヤしていた時、中学からの友達から連絡がきました。
「小学2年生のうちの娘が朗読のコンクールに出るんだけど、どうもうまくいかなくて...。
朗読したものを録音して送るんだけど、緊張しちゃうみたいなの。お母さん確か朗読やってたよね? コツとかあるかな?」
このことを母に転送すると、さっそく返信がありました。
しかも長文で朗読のやり方や心構え、コツがずらりと書いてあります。
「朗読をやる気になってくれて嬉しい。ウイルスがいなくなって会えるようになったら一緒に練習したいな」
最後はそう締めくくられていました。
あまりの熱意と詳しさに友達もびっくりする反面、とても喜んでいました。
母にも友達にも喜んでもらえて嬉しくなった私はこんな提案をしてみました。
「もしよかったら、オンラインで朗読教室やってみない?」
実家と友人の家をオンラインのテレビ電話でつなぎ、朗読教室をすればいいと思ったのです。
幸いなことに、電話代節約のために以前からオンラインでの通話や会議システムを使っていたため、操作には慣れています。
母はもちろんのこと、友人もこころよく提案に乗ってくれました。
そして迎えた当日、私は参加しなかったのですが、とても楽しくできたそうです。
終わったあと母が興奮して電話をかけてきました。
「あの子は人の心に響く朗読ができてすごい! 聴いていて楽しい気持ちになれたし本当に楽しかった、ありがとう。教えるって楽しいね」
母にとっては忘れられない体験だったようです。
思えば母は以前、教員免許を取ったにもかかわらず教師にはならずに会社員になったことを少し後悔している、教壇に立ってみたかったと言っていたことを思い出しました。
立ったのは教壇ではなくパソコンの前、オンラインでの先生体験でしたが、思いがけずに母の50年越しの夢がかなって私も嬉しかったです。
朗読教室はその後も何回か行われ、朗読コンクールには無事に応募できたそうです。
ただ、あまりにも母が張り切っていたので、朗読教室が終わってしまったら燃え尽き症候群になってしまわないかと心配です...。
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