<この体験記を書いた人>
ペンネーム:梅の実
性別:女
年齢:49
プロフィール:もと喫煙者ですが自分の煙も人の煙も嫌いでした。今では煙でくしゃみアレルギー反応がでるアラフィフです。
2020年4月、法律の改正によりたばこのルールが変わりました。
私の勤める会社があるビルには、ビルの出入口近くに喫煙スペースがあったのですが、法改正後になくなりました。
ビルの近くでタバコ休憩ができなくなった先輩数名(40~50代)は、喫煙するために最寄り駅まで行くようになりました。
職場はビルの25階、エレベーターで地上に下りた後は最寄り駅まで徒歩約5分。
喫煙スペースについてタバコを吸って、また歩いてビルまで戻ってエレベーターを待って上がる...。
つまりタバコ休憩に抜け出す先輩たちは、1回あたり30分弱も職場におらず、それが1日数回あるので合計2時間くらい不在になる先輩もいました。
仕事の相談をしようと思っても、喫煙する先輩が不在になる時間帯が必ずあります。
また、喫煙する先輩方が残業して手当てをもらっていることに、「タバコを吸わなきゃ残業する必要がない」とだんだん不満の声がでるようになっていきました。
そして、月イチの会社全体のミーティングが終わった後のことです。
非喫煙者の後輩Hくん(32歳)が社長に向かって発言しました。
「すいません、少しだけお時間頂けますか。業務体制についての懸念事項についてお話がしたいのです」
社長から許可がでたので、Hくんは喫煙している方々がたびたび30分近く不在となり業務に支障がでていることを懇々と説明しました。
喫煙している時間、業務が止まっているのになぜ残業代をもらって残業しているのか理解できない、ということも。
「喫煙される方々が喫煙に長い時間出かけるならば、自分たちもそれと同じ時間だけ休憩させてほしい。おかしいではありませんか」
そう言ってHくんに追従して若手社員数名が「賛成です。おかしいと思います」と声を上げました。
喫煙している人達はムッとした顔をしていました。
「各部署のマネージャーは残ってあとは業務に戻るように」
社長の一言で解散になり、我々は席へ戻ったのですが、チクられたと思った喫煙者の先輩達がHくんをはじめとした非喫煙の若手を睨んでいて、ちょっといやな空気になっていました。
喫煙先輩の1人、Sさん(54歳)がぼそっと言いました。
「なんか公開処刑みたいだったなあ。直接言ってくれたらいいのになあ」
その言葉にHくんと先ほど賛同していた若手社員たちがカチンときたようで、言い返しました。
「いつも報告や相談をしようと思ってもいないじゃないですか。喫煙から戻っていた時も、話を聞いてくれるような雰囲気じゃありませんでした!」
ああ、ますます険悪な雰囲気に...。
そこへマネージャー達が社長と戻ってきました。
そして社長から一言。
「喫煙で1回に30分も不在なのは、サボリと見なすのは当然ですね。非喫煙者に同じ時間休憩をさせるのは業務に多大な支障を及ぼすし、喫煙で浪費した時間を考慮せずに残業代を出すのもおかしな話。それでも吸いたい人はマネージャーに申告してから行くように」
Hくん達非喫煙者はちょっと晴れ晴れした顔に。
喫煙社の先輩方はちょっと苦い顔に。
その後、各部署でマネージャーを交えて話し合った結果、喫煙者のほとんど(約20人)がタバコをやめることにしたそうです。
タバコが吸えなくなった分飴を舐めたりとちょっと苦労したそうですが、ある時、タバコが吸いたいというより口がさみしくて吸っていただけで、飴でもよかったのかも、と気づいたとか。
その後も喫煙を止めなかった5人は、1年以内に会社を去っていきました。
ちなみに私は元喫煙者。
止めてもう10年以上経ちますが、早くに止めておいてよかったです。
関連の体験記:ああ、見てしまった...私が介護する86歳の義母が、介護を手伝ってくれない義姉に「こっそりお金を渡す姿」
関連の体験記:夫が倒れて働きづめの私。進学を諦め、助けてくれた長女。並んで座った電車での何気ない会話に涙が...
関連の体験記:「大学出て一流企業で働く長男には言えんなぁ」田舎町の雑貨店、跡継ぎ話でカチンと来た次男坊の私
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。