<この体験記を書いた人>
ペンネーム:にゃんこ
性別:女
年齢:56
プロフィール:82歳の母とにゃんこ1匹とまったり暮らしています。
3人兄弟の真ん中で、3つ違いの姉と2つ違いの弟がいる私。
今は82歳になった母と暮らしています。姉は28歳で結婚した時に、弟は23歳で就職した時に実家を出ています。
私もずっと実家に住み続けるつもりはなかったのですが、早い話、家を出るきっかけがなかったのです。
古くからの友人は、自分で稼げるようになったら家を出て独立した方がいいと何度も助言してくれました。
けれども、その時は結婚したら家を出るから何も急いで独り暮らしをする必要はないと思っていました。
その上、実家暮らしはお金もかからないし、洗濯や料理を母がしてくれていたので楽チンな生活。いずれ家を出るその日まで甘えていようという気持ちもあったのです。
姉や弟が結婚して独り残された私。そんな私に対し、両親は「近所の手前もあるから、結婚して家を出て」とうるさく言った時がありました。
一度だけ会社の先輩と付き合ったことがありましたが、相手に好きな人ができたからと一方的に別れを告げられてからはそれっきり。
結婚願望はあったので合コンなどにも参加してきましたが、なかなか自分に合うような人が見つからず、まあ焦って無理をすることはないかと思っていました。
私が30代半ばに差し掛かる頃には、両親は「離婚して帰ってきてもいいから、(近所の手前)一度だけでも結婚して家を出て」とまで言うように。
でも両親の願いとは裏腹になかなか良縁に恵まれない私。
そうこうしているうちに、勤めていた会社の経営が悪化して正社員から非正規の社員に格下げされ、若かった私は腹が立って会社を辞めてしまいました。
当時はこの年齢での女性の再雇用はなかなかなく、その後はいろいろな会社に派遣で勤めるようになりました。
そんな状態なので、ますます実家を出づらくなってしまったのです。
40代半ばを過ぎると両親は「結婚しないでいいから、ずっと家に居て(自分達の)面倒をみて」というように。
その後には父が癌で亡くなったこともあって、実家を出るタイミングを完全に失ってしまいました。
今現在、私が母と暮らしているので、姉や弟は母のことは完全に私任せ。
年老いた母の世話には関わろうともしません。
母は認知症はありませんが、膝が悪く一人では出かけられません。
一般の老人ホームに入るほどの財産があるわけでもないので、このまま私が実家で母を看取ることになるのだと思います。
この年になって結婚はしたいとは思いません。
海外旅行もしてきたし、友人達から旦那や舅姑の愚痴を聞く限りでは、自分の生活が振り回されなかっただけ気楽だと感じています。
ただ、5年前に、大きくなりすぎた子宮筋腫のために子宮を摘出したのはさすがにショックでした。
未婚だし50歳を過ぎていたこともあって、病院で「子供は産まないですよね」と言われて否定のしようもなかったのですが、その言葉は私の胸に刺さりました。
旦那は要らないけど子供は産んでみたかった、そんな思いはありましたから。
今にしてみると、ちょっと無理をしてでも一度実家を出て独立するという経験も必要だったのかもしれません。
でも、なるべくしてこうなったのでちっとも後悔はしていません。
友人達は母がいなくなった後の私の生活を心配してくれてはいますが、はっきり言って大きなお世話。
「大丈夫、なんとかなる」ってそう思っています。
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