1999年に『パラサイト・シングルの時代』という著書が出版されてから約20年。当時若者だったパラサイト・シングル達は中年に。彼らの親世代は60歳~70歳となっている現在、多様化する結婚の形や生き方に親世代はどのようなことをし、心得ておくべきなのでしょうか。
「親と同居の中年未婚者」や「高齢化する婚活問題」について、『パラサイト・シングル』の著者であり、中央大学文学部教授である山田昌弘先生に伺いました。
結婚せずに親と同居する子どもが増加
1999年に出版された山田昌弘先生の著書に、『パラサイト・シングルの時代』があります。就職後も親と同居して生活費のほとんどを依存し、給料の大半を小遣いに使って、裕福に暮らす若者の実態を明らかにした本です。当時、この若者たちを表す「パラサイト・シングル」という言葉が流行しました。それから約20年たった現在、親と同居の中年未婚者が増加傾向にあります。
○親と同居している35~44歳の未婚者が増加
○既婚で親と同居は減少。独身で親と同居は増加(35~39歳)
「結婚後に親と同居する人は減りましたが、未婚で親と同居する人は増えています。この人たちを『中年パラサイト・シングル』と呼んでいます。昔の裕福なパラサイト・シングルとは状況が異なり、収入が少ないために親と同居する人が多いのです」と山田先生は話します。
多様化する結婚に対する考え方
この35歳以上の中年未婚者を抱えている親の世代は、どのように思っているのでしょうか。山田先生は、「娘がいる60~70歳代の親に『娘さんが年収の低い男性を連れてきたら、結婚を認めますか』と聞いたら、『ノー』と答えるでしょう。収入が安定した男性との結婚でないと、世間体が悪いという思いがあるようです」と話します。
雑誌『毎日が発見』編集部が実施した読者モニターアンケートからのコメントです。「35歳以上の未婚の親族がいますか」「その親族についてどのように思っていますか」と質問をしたところ、さまざまな回答が寄せられました。
アンケートの詳細は次の記事でご紹介します。
次の記事「結婚しない子供達...。 親の本音はどこにある!?/パラサイト・シングル(2)」はこちら。
取材・文/松澤ゆかり
山田昌弘(やまだ・まさひろ)先生
中央大学文学部教授。東京大学文学部卒業。専門は家族社会学。近著に『底辺への競争』(朝日新書)がある。