「コロナ禍中でどういうつもり」と娘にご近所のプレッシャー。帰省は許されないことですか?

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:58
プロフィール:地方に住む公務員の58歳男性です。関東圏に教師として赴任した娘(25)が帰省してきました。

「コロナ禍中でどういうつもり」と娘にご近所のプレッシャー。帰省は許されないことですか? 5.jpg

関東圏の中学校に、この春、夢をかなえて英語教師として赴任した娘(25)は、異例だらけの新学期を何とか乗り切ったようでした。

ゴールデンウィークには一度帰るね、と言っていたのですが、移動自粛でそれもかなわず、なかなか里帰りできずにいました。

そうして迎えたお盆に「そろそろいいんじゃないか? 墓参りぐらいさ」と相談し、初の帰省をしてきました。

4カ月以上会わないのは生まれて初めてのこと。最寄りの駅に娘を迎えに入った時は、少々胸に迫るものがありました。

「とりあえず墓参りするか」

そのまま車で墓参りに行きました。

お盆中ということで、そこそこの人出がありましたが、特に知っている方には会うことなく、お参りもそこそこに家に帰りました。

「ああ、やっぱ家はいいわあ」

そう言いながらリビングで手足を伸ばす娘の姿を眺めていると、隣の奥さん(61)が訪ねてきました。

「暑いわねえ...ところで、お嬢さん帰ってらしたの?」

「え? ああ、まあ、お盆なんで...」

「お墓に行かれたでしょ? ○○さんが見かけたらしくて...」

「そうですか、気づきませんでした」

「コロナで大騒ぎの中に帰ってくるなんて、どういうつもりなんだかって、聞かされちゃってね...」

どうやら偵察に来たようです。

「まあ田舎だからね、コロナ真っ只中での都会からの帰省は気にする人もいるわけよ...」

「本人も仕事柄気を付けているし、周りにも感染した人はいないということで...」

「いえね、私はいいの。でもねえ...言う人は言うからね」

そう言いながら帰っていかれました。

その日の夜、彼女はスイカを持ってまたやってきました。

「頂きものだけど、食べきれなくてね」

「いやあ、これはありがとうございます」

「いえいえ...ここだけの話だけどね、区長さんがうちに来てね...」

地区の中ではうちのことを非常識呼ばわりする方もいるということで、心配して来てくれたということでした。

言い訳に聞こえるかもしれませんが、娘も墓参り以外は久々の我が家で寛ぐばかりでどこに行くというわけでもありません。

高校時代の友達とも電話で話したきりで、食事でもというお誘いは丁重に断っていました。

4日ほどの予定の帰省は家でのんびり過ごす予定で、迷惑や心配をかけるようなものではないと思っていました。

翌朝には電話がかかってきました。

「□□さんも気づいたみたいよ」

「はあ...」

「ほら、あの人おしゃべりだからねえ...」

「墓参り以外では出かけていないので、姿を見た方は少ないと思うんですけど...」

「なんか遊び歩いてるとか言ってる人もいるらしいわよ...ほら、こういうのって尾ひれがつくじゃない?」

こちらが気を遣っていることも通じてはいないようです。

続々と届くご注進に気が滅入ってきました。

どこかで噂されていたとしても、耳に入って来なければ気にしないで済むのですが、聞こえて来る以上気にならないはずがありません。

娘には言わないようにしていましたが、玄関先や電話口での話は嫌でも耳に入ることでしょう。

いかにも「早く帰れ」と言わんばかりの雰囲気に、娘は予定を2日繰り上げて、帰ってきた日の翌日の夜には帰ってしまいました。

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