「飛んでいる矢は止まっている」の意味。大人のためのゆるっと雑学【微分・積分】
子どもの頃、授業で習った「太陽や星の動き」「地球の自転や公転」「重力」――。当時は難しく感じた宇宙や物理の話も、年齢を重ねた今、改めて触れてみると「そういうことだったのか」と新たな発見があるかもしれません。そんな大人の「学び直したい」という好奇心に寄り添ってくれる一冊が、『宇宙と物理のしくみがわかる! すごすぎる宇宙・天文の図鑑』(KADOKAWA)です。SNSでも話題の天文物理学者で、信州大学工学部准教授でもあるBossBさんが、遠い宇宙の神秘から身近な物理の不思議まで、豊富な図解とともにやさしく解き明かしてくれます。
※本記事は天文物理学者BossB (著)による書籍『宇宙と物理のしくみがわかる! すごすぎる宇宙・天文の図鑑 』から一部抜粋・編集しました。
【天体と物理】止まっているのに動いている?ゼノンの矢と瞬間の速度
「放たれた矢は動けない」これは哲学者・ゼノンのパラドックス(逆説)です。今、この瞬間に矢の写真を撮ると、写真の中の矢は静止しています。「今」の矢の場所があるのです。では次の「今」も次の「今」も矢は静止しているはずなので、矢は動けないことになります。
でも実際に、矢は動きます。これを解決するのが、0に限りなく近い極限まで細かく分けて、変化を考える「微分」、分けたものを積み重ねる「積分」という方法です。
微分…「今」に小さい時間の幅を与えます。その時間内に矢が動いた距離を、その時間幅で割った値が矢の平均速度です。そしてその時間幅を0に限りなく縮めていくと、動く距離もごくわずかになりますが、平均速度はある値に近づいていきます。それが「今」の矢の瞬間の速度です。
積分…「今」の速度に「今」の時間幅をかけたとても短い距離を、ある時間からある時間まで積み重ねていくと、その間に矢が動いた全体の距離がわかります。
豆知識
運動の3法則と重力と光の性質、そして微積分の概念を思いついたのは当時23歳のアイザック・ニュートン。ペストの流行により自宅に引きこもり、一人で考えだしたことです。

