行政などの支援がいざという時の生命線に。「もしも」に備えて知識を得ておくことでまるさんの不安も少し和らいだよう。
――自分に何かあったらどうしよう...と不安になったのは、なにかきっかけがあったんですか?
まるさん(以下、まる) ごみ捨てのときにふと考えてしまったんです。私たちが住んでいる地域はごみの収集場所は家から少し離れた車道の向かい側にあって、だいたい息子がテレビを観ているときにごみを捨てに行きます。ある朝、その道路で車が途切れるのをボーッとしながら待っているときに、「今、私がここで車に轢かれてしまったら、家で1人で留守番している息子はどうなってしまうんだろう」と思ってしまい...。
――その時に、まるさんがいなくても生きるための要求を周りに伝えることが大切だと痛感したのですね。漫画に描かれている「生きるレベルが一つ上がった」にという言葉は重みのある言葉です。
まる 当時の息子は観ていた動画が気に入らないと「オシマイ」と言うことはありましたが、これが飲みたいとか、食べたいとか要求を言うことはほぼなかったんです。だから、「チャチャー(お茶が飲みたい)」と言ったときは、「命に関わる要望がやっと一つ出てきた」と思って本当に感激しました。今は「お腹が減った」とまでは言いませんが、冷蔵庫を開けて「これが食べたい」と指差してくれます。そのうち、体調が悪いときの意思表示もしてくれたらなと思っています。
――できることが少しずつ増えてきたリュウ君。まるさんも、気持ちに余裕が出てきたそうですね。
まる 自分で洋服を着るのはまだ怪しいですが、ズボンを脱いだり履いたり、リュックを背負ったりといろんな動きができるようになりました。できることが少しずつですが増えて、日常生活の動きができるようになってきているのは安心しています。
この先リュウ君が大きくなるにつれて、自分で何かをしなければいけない場面は増えてくる。そのときに向けて、「生きるレベルを上げること」は重要。次はどんな「生命力」を身につけていくのか、リュウ君の成長が楽しみだ。
「どうしてうちの子が!?」と悩み、苦しみながらも、少しずつ成長する息子の姿に力を得て、一歩ずつ前に進んでいくまるさん。発達障がいを「障がい」ではなく「個性」と思えるほど子どもに寄り添い、一緒に成長していく姿を『シンママのはじめて育児は自閉症でした』で見守っていこう。