「完全メシ」と「白湯」のヒットの共通点。時代の変化とネーミング【高くても売れる秘訣】

完全メシがヒットした理由

一体、なぜ「完全メシ」がここまでヒットしたのでしょうか?

こちらもまずはネーミングです。

栄養素とおいしさの完全なバランスを追求していることを表現するためにつけられたとのことですが、コンセプトがストレートにシンプルに表現されています。

もうひとつは、そのコンセプトが「普段からジャンクフードを食べることが多い『意識高くない』30~40代男性の心に刺さった」ということです。

彼らにとって「健康を意識した食品」は、味付けが薄かったりマズく感じられたりして、食欲がそそられません。しかし、20代の頃にはジャンクフードを思いっきり食べてきた彼らも、30代になると健康や体形の変化が気になってきたりする。

そんなターゲット層の「自分メンテナンス」の意識の高まりにぴったりマッチしたのが「完全メシ」がヒットした一番の理由ではないでしょうか?

「完全メシ」のパッケージや、お笑いタレントのサンシャイン池崎さんを起用したCMは非常に派手で、「意識高くない」層に刺さるジャンク感が満載です。

商品のバリエーションはカップライス、即席麺、スムージー、グラノーラに加えて、かつ丼、牛丼、ボロネーゼ、テリヤキチキンピザといったようなガッツリ系の冷凍食品が充実しています。

価格はインスタント食品としてはかなり高価格です。

「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」は429円(税込)。5種類をセレクトできる「冷凍完全メシ」のセットは4305円(税込)です。

それでも「意識高くない」層にとっては、慣れ親しんだメニューで栄養バランスが整っていて、しかも自炊よりはるかに簡単でおいしいわけですから、メリットは十分にあると言えます。

高くてもバカ売れするわけです。

 

川上徹也
湘南ストーリーブランディング研究所代表。大阪大学人間科学部卒業後、大手広告代理店勤務を経て独立。数多くの企業の広告制作に携わる。東京コピーライターズクラブ(TCC)新人賞、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC 賞など受賞歴多数。現在は、広告制作にとどまらず、さまざまな企業・団体・自治体などのブランディングや研修のサポー ト、広告・広報アドバイザーなどもつとめる。著書は『物を売るバカ』『1行バカ売れ』(いずれも角川新書)、『キャッチコピー力の基本』(日本実業出版社)、『江戸式マーケ』(文藝春秋)、『売れないものを売る方法? そんなものがほんとにあるなら教えてください!』(SB 新書)など多数。

※本記事は川上徹也著の書籍『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』(SBクリエイティブ)から一部抜粋・編集しました。
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