『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』 (平野薫/ダイヤモンド社)第1回【全5回】
コンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれない? 一見無関係な事柄同士でも、紐解くとお金の流れで繋がっていることがあります。本書『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』 は、日常の「ふとした疑問」をロジカルに解説した「お金の流れが見える本」。本連載では、コンビニコーヒーの値段から古びた店がつぶれない理由まで、5つの事例を紹介します。
※本記事は平野薫著の書籍『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』(ダイヤモンド社)から一部抜粋・編集しました。
なぜセブンカフェのラージサイズはホットよりもアイスの方が高いのか?
レギュラーはホットもアイスも同じ価格なのにラージはアイスの方が30円高い
セブンカフェは2013年に発売を開始して以来、香り高いレギュラーコーヒーが缶コーヒーよりコスパが良いことが話題になり、多い年には年間10億杯を超えるメガヒット商品となっています。1杯100円としても1000億円の売上になり、単品商品としては驚異的な数字です。また日本の人口を1.2億人として考えると日本人一人当たり年間で8.3杯も飲んでいる計算になります。小さな子供や高齢者の購入頻度が低いことを考えると、コアターゲットのビジネスパーソンの購入頻度はその数倍になると思われます。発売から10年でいかに生活に浸透しているか分かります。
セブンカフェ発売当初、4種類の商品がラインナップされ、下記のような価格で販売されていました。
これを見て、まず感じたのはなぜラージサイズはホットよりもアイスの方が高いのだろう? ということです。マクドナルドでもドトールコーヒーでもサイズが同じであれば価格は一緒です。同じサイズ=同じ価格という固定観念があったからこそ、この価格差に強く反応しました。
実はアイスの方が原価が高い
違和感を抱きながら、セブンカフェの購入手順を一通り確認したところで価格差の理由が理解できました。価格差の理由はアイスコーヒーのカップの形態にあります。ホットの場合は普通の紙コップなので重ねてバックヤードに入れておけばいいのですが、アイスは氷がカップに入った状態で冷凍ケースに保管されているため、冷凍庫での保管費用や冷凍物流の費用も掛かります。その分コストが高くなるので価格も割高になっているわけです。
では、なぜレギュラーは同じ価格なのか? それはホットもアイスも100円というインパクトのある価格を訴求するために政策的に価格を合わせたのでしょう。前述のようにセブンカフェは年間10億杯以上を売り上げるメガヒット商品となり、コーヒー目当てで来店するお客さんも多く、結果的に他のついで買いも増えているはずです。ついで買いで他の商品の販売が増えればレギュラーのアイスコーヒーがあまり儲からなくても問題ないという考えでしょう。