『世帯年収1000万円 「勝ち組」家庭の残酷な真実』 (加藤梨里/新潮社)第1回【全2回】
世帯年収1000万円は、いわゆる「勝ち組」? いえいえ、決してそんなことはありません。不動産は高騰し、増税により実質賃金は目減り。旅行にも行けず、たまの外食は激安チェーン店と、ギリギリの生活を強いられているのです。
そんなイマドキの1000万円世帯を、ファイナンシャルプランナーの加藤梨里氏が徹底分析! 令和の中流上位層を描く1冊『世帯年収1000万円 「勝ち組」家庭の残酷な真実』 より、「老後資金」がテーマの2エピソードをお届けします。
※本記事は加藤梨里著の書籍『世帯年収1000万円 「勝ち組」家庭の残酷な真実』(新潮社)から一部抜粋・編集しました。
老後資金の育て方
子育て期間は、住居費に教育費に生活費にと、あらゆるお金の負担に追われる時期なので、日々家計をやりくりするだけで精一杯で、自分の老後のお金までほとんど手が回らないというのはよくあることです。国民的キャラクターで試算した年収1000万円世帯でもあまり老後資金が貯まらないケースが散見されました。
しかし、公的年金の給付水準の低下、「サラリーマン増税」による退職金への課税強化の検討(2023年現在)など、現在の現役世代の老後はリスクにあふれています。可能ならば子育て期間中から少しでも老後資金を準備し始めたいものです。
NISAとあわせて老後資金を準備する方法として近年注目されているのが、個人型確定拠出年金(イデコ、以下iDeCo)です。確定拠出年金は老後資金を準備するための制度で、企業で退職金制度のひとつとして導入されている「企業型確定拠出年金(DC)」のほかに、個人で任意加入する制度としてiDeCoがあります。企業型は制度を導入している企業の会社員しか加入できませんが、個人型のiDeCoは20歳以上65歳未満なら原則、誰でも加入できます。