知りたいのは職場が「いい感じの雰囲気」かどうか
一方で、インターンシップを通じて「知りたかったことを知ることができたか」となると、71.5%が「できなかった」と答えたと、株式会社学生就業支援センターの「23卒夏期インターンシップ参加学生追跡調査」は報告している。
こちらの調査結果の方が、より素直な意見が表出した結果のように思われる。
その「知りたかったのに知ることができなかったこと」としては、「職場の雰囲気」が35.1%で最も多くなっている。さらに、その「職場の雰囲気」が「良いと感じた場面」については、「社員同士が仲良く話しているとき」とのことだ。
これについては、僕が日常的に学生と接している中でも、頻繁に耳にする。「昨日のインターンシップはどうだった?」と質問した際の返答で、最多のパターンがこの「雰囲気評価」だ。
「社員同士が仲良く話しているかどうか」は、ウェブ形式のインターンシップでも十分に伝わるようだ。画面越しに社員同士が仲良く、笑い交じりで会話しているのを見て、学生たちは「昨日の会社はいい感じの雰囲気でした!」と僕に報告してくれる。
具体的には? と聞いたところ、「上司の人が、画面越しにおにぎりを食べてるんですよ。で、それを部下の人が『部長、ちょっと何食べてるんですか!』って突っ込んでたんです(笑)」とのこと。
あ、そう。
しかし、インターンシップで知りたいことが「良い雰囲気の職場」かどうかで本当にいいのか。インターンシップって何のためにやるものだっけ。と、そんな疑問を抱かずにはいられない。
他方、上記のマイナビ調査によると、企業側にとってのインターンシップの課題は「学生のエントリー数が少ない」ことが最多となっている。そして、そのための対策として「学生がリラックスできる雰囲気づくり」が大きく票を伸ばしている。
つまり、企業側も「雰囲気評価」されていることをよく理解しているということか。
「雰囲気重視の仕事体験」傾向は、しばらく続くことになりそうだ......。