予防接種や健康診断はNG、通院にかかった交通費はOK,意外に広い医療費控除対象をチェック!

払いすぎた税金を取り戻し、翌年の住民税額を低くおさえることができる可能性があるのが確定申告。特に、私たちにとって身近なのが、医療費控除の申告です。その方法と注意すべき点について、税理士で公認会計士の渡辺義則先生に教えていただきました。

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医療費控除申告で納めすぎた税金が戻ってくる

確定申告をすると、払い過ぎた税金が還付金として銀行などの自分の口座に振り込まれ、翌年の住民税が安くなる可能性があります。しかし、全ての人が該当するわけではなく、中には不足している税金を納める場合もあります。還付か納付かは1月1日から12月31日までの1年間に生じた、全ての所得金額とそれに対する所得税などを計算することで分かります。

 

税理士の渡辺義則さんは「計算と聞くと難しそうですが、確定申告書に記入していくことで判明します。2019年の確定申告の期間は、2月18日から3月15日まで。還付申告は翌年の1月から5年以内に住所地を管轄する税務署に提出すれば、税金の還付を受けられます」と話します。

私たち世代が行う確定申告で気になる項目といえば「医療費控除」でしょう。医療費控除には、「従来の医療費控除」と2017年1月1日から2021年12月31日までの期間限定で実施されている「セルフメディケーション税制」の2種類があり、どちらかを選んで申告します。

従来の医療費控除は、支払った医療費の合計額が10万円または総所得金額等×5%のいずれか少ない方の金額を超えた人が対象です。一方、セルフメディケーション税制は、薬局などで購入した特定一般用医薬品等(スイッチОTC医薬品)の年間購入金額が1万2000円を超えた人が対象です。

 

■医療費控除の確定申告の主な流れ(申告の仕方がよく分からない人の場合)

医療費の領収書や薬局のレシートなどを集める
   ↓
保険などで受け取った金額を確認する(記事末を参照)
   ↓
最寄りの税務署で確定申告書を手に入れて、税務署内の作成相談コーナーなどで申告書の書き方を教えてもらい記入する
必要書類など:源泉徴収票、医療費の領収書、薬局のレシート、マイナンバー、印鑑 など
   ↓
最寄りの税務署に提出する
   ↓
還付金があれば約1カ月後に金融機関の自分の口座に振り込まれる。
翌年の住民税が安くなる

 
予防接種や健康診断はNG!医療費控除の対象とは?

基本的に、通常の医療費控除の対象は、「治療を目的とした支出」に限られます。病院や医師に支払った医療費以外に、禁煙外来やレーシック手術などでかかった費用も含まれます。

健康診断や人間ドックの費用、インフルエンザなどの予防接種費用は、治療を目的としていないので対象ではありません。「ただし、健康診断や人間ドックなどの検査の結果、重大な疾病が見つかり、引き続き治療を行った場合は、健康診断などの費用も対象となります」と渡辺さんは話します。

歯科ローンを組んだときは、信販会社などから借り入れた全額(金利や手数料は除外)が医療費控除の対象です。この場合、ローンの契約成立日が支払い日となります。

薬代は、治療を目的として購入したものに限られます。例えば、漢方薬の場合、医師による処方であれば対象ですが、そうでないものは対象外です。

介護保険を利用している場合、介護老人保健施設や指定介護療養型医療施設で施設サービス費として支払った介護費や食費、居住費などは医療費控除の対象となりますが、日常の生活費などは対象外です。また、介護老人保健施設などで、診療のためやむを得ず個室などの特別室を利用した場合も、その使用料は控除の対象です。

 

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医療費控除の対象になるもの
○病院などでの診療・治療費
○歯の矯正費用(治療のためのもの)
○歯科ローンの借入金
○治療のためのマッサージ、はり、きゅうなどの施術費(資格を持つ人に支払ったもの)
○医師の処方に基づく漢方薬
○通院のための交通費
○やむを得ない場合のタクシー代(介護タクシー含む)
○「おむつ使用証明書」がある場合のおむつ代
○最低限の用を足すための義手、義足、松葉づえ、補聴器、コルセットなど

医療費控除の対象にならないもの
×病院などでの健康診断・人間ドック、インフルエンザなどの予防接種の費用
×歯の矯正費用(美容目的のもの)
×歯科ローンの金利分・手数料分
×健康維持、疲労回復のための施術費(エステなど)、無資格の人に支払った施術費
×疾病予防、健康増進のための医薬品(セルフメディケーション税制を選択した場合、スイッチOTC医薬品であれば対象)
×医師の処方がない通常の漢方薬
×自家用車のガソリン代、駐車料金
×証明書がない場合のおむつ代
×老齢者の使用する補聴器、通常のメガネやコンタクトレンズの購入費

 

■医療費などから差し引く保険などで受け取った金額の主なもの
・健康保険制度などから支給される療養費
・家族療養費
・高額介護合算療養費、高額療養費
・高額介護サービス費
 (特別養護老人ホーム、指定地域密着型介護老人福祉施設の人はこの2分の1の金額)
・保険会社からの保険金など(医療保険金、入院給付金など)
・損害賠償金による補填

 

次の記事「忘れず申告!市販薬や仕送りしている別居家族の医療費も控除対象になる可能性あり(2)」はこちら。

取材・文/金野和子 イラスト/坂木浩子

 

 

渡辺義則(わたなべ・よしのり)さん

税理士/公認会計士。渡辺公認会計士事務所所長。中小企業の経営・税務の指導に当たるとともに、株式公開、相続対策セミナーの講師など幅広く活躍。

この記事は『毎日が発見』2019年2月号に掲載の情報です。

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