そろそろ確定申告の時期がやってきました。確定申告とは、払い過ぎた税金を取り戻したり、不足している税金を納める手続きのことです。きちんと手続きすれば、税金が戻ってきて、うれしいおこづかいになることも。その仕組みや注意点などを税理士の板倉 京さんに教えてもらいました。
公的年金の年収400万円を基準に
それ以下でも戻ってくる場合も
確定申告をするためには、まず、1月1日から12月31日までの1年間に生じた、全ての所得金額とそれに対する所得税などの税金の額を計算します。確定申告時期は、2月16日から3月15日(2018年の場合)ですが、還付申告はこの期間に限らず、翌年の1月から5年以内に住所地を管轄する税務署に提出すれば、税金の還付を受けられます。
60代以上のかたの場合、公的年金の収入が400万円を超える人などが確定申告をする必要があります。ただ、「確定申告が不要な公的年金の収入が400万円以下の人でも、配偶者がいる人などは税金が戻る可能性があります」と、板倉さん。
そこで、国税庁のホームページの確定申告書を作成できるサイト(e-Tax)で試算してみました。例えば、69歳の男性で公的年金の収入が300万円、源泉徴収税額6万5000円、社会保険料控除40万円、配偶者控除を適用し計算したところ、約3万2000円が戻ってくる結果となりました。
「パソコンがない人は、公的年金の源泉徴収票などを持って、確定申告期間中に税務署などで開催される作成相談コーナーに行ってみましょう。最寄りの税務署に電話で問い合わせると、相談できる日程などを教えてもらえます」とのこと。相談してみる価値はありそうです。
【確定申告をすると税金が戻る可能性が高い主なケース(60代以上の場合)】
●薬局などで購入した一般用医薬品等の年間購入額が合計1万2,000円を超えた人
●2017年中に退職して、再就職していない人
●支払った医療費の合計額が10万円または所得×5%のいずれか少ない方の金額を超えた人
●2カ所以上から給料をもらっている人
●公的年金から所得税が源泉徴収されている人(確定申告が不要な400万円以下でも、配偶者控除などがある人は税金が戻る可能性がある)
取材・文/金野和子
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板倉 京(いたくら・みやこ)さん
税理士。女性開業税理士で組織された(株)ウーマン・タックス代表。相続・贈与等個人資産に関する税務・保険が得意。著書に『夫に読ませたくない相続の教科書』(文春新書)などがある。