寝室のドアの開き方で「防犯対策」。建築会社社長が指南、費用をかけず「狙われにくい家」にする方法

異変に気づく点としては、防犯砂利というものが有効です。この上を歩くとジャリジャリと大きな音が出ます。それで住人は人の侵入に気づくことができ、避難したり、通報したりする時間をつくれます。この音は犯罪者にとってリスクです。周囲に気づかれることもありますから。

同じ観点でいうと、自動センサーの照明は有効です。侵入者を照らすことになります。また防犯に限らず、住人が夜に家を出入りする際に自動で照明がつくのは便利ですよね。設置費用がかかったとしても生活の利便性を得られていることになります。

防犯カメラはつけたほうがよいでしょう。それがあるだけで抑止力になります。玄関のインターフォンとセットになったものもあります。

またWi‒Fi対応の防犯カメラもあり、録画データをパソコンやスマホに保存できます。需要の高まりもあって手に入れやすい価格帯のものが増えているので、今住んでいる家にもつけていただきたいですね。

家の中でも対策できることがあります。寝室のドアを内開きにしておくこと。初期費用は同じです。これまで解説した対策をしていれば、寝室に逃げるだけの時間をつくれるでしょう。内開きのドアであればつっかえ棒や家具でバリケードをつくることもでき、そうこうしているうちに警察が駆けつけてくれるわけです。

このように通常設置しているものを防犯対策の仕様にすることもできます。ほかの無駄なものを省いて防犯設備費用を確保する手段もあります。ただトータルコストで比較するものではないと思います。

防犯設備の充実が安心安全な暮らしにつながるのであれば、高性能住宅の追求と同じように捉えることができるのではないでしょうか。

 

平松明展
平松建築株式会社代表取締役。建築歴23年。19歳から大工として10年間で100軒以上の住宅を解体、修繕し、住宅の性能の特徴を理解する。2009年創業。会社経営を行いながらもドイツを訪れて省エネ住宅を学ぶほか、地震後の現地取材を行い、気候風土に合った家づくりの研究を行う。YouTube チャンネル「職人社長の家づくり工務店」(登録者数は9万人以上)も配信中。

※本記事は平松明展著の書籍『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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