「中古」より「新築」がお得!? 初期費用だけでは計れない、住宅購入時の「トータルコスト」の重要性

長期的に見るとコストの捉え方が変わる

新築は経済的に重荷だけれど、中古住宅のリスクも避けたいという場合、建売住宅の選択肢もあります。注文住宅よりは割安で購入できます。ただし、高性能住宅とは限らないので、そのあたりは念頭において判断してください。

新築、中古、新築の建売のどれかを選択するにせよ、ライフプランに基づいて判断することが必須です。30歳の人が100歳まで住むことを想定し、70年の期間でシミュレーションしてみます。わかりやすくするため土地代は抜きにし、中古住宅は住む前のリフォーム代を入れていません。

初期費用は新築3000万円、中古は1000万円と設定します。ここでは2000万円の差がありますよね。次に光熱費を見ていきます。新築が月々2万円、中古が月々3万円と設定した場合、年間で12万円の差額が出ます。次にメンテナンス費用ですが、新築の場合は10年おきに約100万円、中古の場合は10年おきに約200万円が必要になると考えておいたほうがよいでしょう。40年後の70歳の時点で比較すると、光熱費は中古が新築より480万円プラス、メンテナンス費用は400万円プラスということになります。880万円の差が出ているわけです【表1】。

ここから先はさらにその差が広がっていきますが、それより重大なことがあります。物件の性能にもよりますが、仮に築20年の中古物件を購入したとすると、40年後は築60年。建て替えが必要になる可能性が高いのです。あと30年間を生きるとしたら、そこから新たに物件を購入するにしても、賃貸にするにしても費用が発生します。70年後を待たずして新築のほうがお得であることをご理解いただけるでしょう。

このシミュレーションはあくまでも30歳の方を想定したケースです。購入する年齢によって比較結果は変わってくるのは当然ですが、新築の場合、売却して収入を得られるという側面もあります。こうした事態を考えてもライフプランの重要性がわかることでしょう。

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平松明展
平松建築株式会社代表取締役。建築歴23年。19歳から大工として10年間で100軒以上の住宅を解体、修繕し、住宅の性能の特徴を理解する。2009年創業。会社経営を行いながらもドイツを訪れて省エネ住宅を学ぶほか、地震後の現地取材を行い、気候風土に合った家づくりの研究を行う。YouTube チャンネル「職人社長の家づくり工務店」(登録者数は9万人以上)も配信中。

※本記事は平松明展著の書籍『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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