何度もニュースになっている振り込め詐欺(相称・特殊詐欺※)。あちらこちらでPRされている昨今ですし、「こんなに報道されているのにまだ被害にあう人がいるの?」「うちの家族に限って、だまされることはないから大丈夫!」と思っている方も多いでしょう。
でも、詐欺師はあの手この手を使って被害者から理性的な判断力を奪います。それが大きな落とし穴。たとえどんな人でも「うちは絶対に大丈夫!」ということはありません。
家と連絡を取り合ったり、両親と会ったりする機会が多くなる年末年始。このタイミングで今一度、家族としっかり話し合ってみませんか?
※ 「特殊詐欺」とは、面識のない不特定の者に対し、電話やその他の通信手段を用いて預貯金口座への振込みなどにより、現金などをだまし取る詐欺のこと。
振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺及び還付金等詐欺)や振り込め詐欺以外の特殊詐欺(金融商品等取引名目の特殊詐欺、ギャンブル必勝情報提供名目の特殊詐欺、異性との交際あっせん名目の特殊詐欺及びその他の特殊詐欺)の総称。
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振り込め詐欺の最近の傾向
振り込め詐欺は、電話口で被害者をだまして指定した口座に送金させる詐欺の総称。特殊詐欺の中でも割合がダントツで多いというデータもあります。
警察庁によると、今年の上半期は3年連続被害額が減少していますが、被害総額は約174.9億円で、1件当たりの被害額は、226.7万円にものぼります。
世の中に広く知られている犯罪ですが、残念ながら未だにだまされる人が続出しているというのが現状です。
振り込め詐欺の中でも一番、有名なのが「オレオレ詐欺」。電話口で息子・孫などの家族になりすましてお金を要求してきます。犯人は
「会社の金を使い込んでしまった」
「電車(タクシー、病院など)でカバンを忘れたが、会社の小切手が入っていて、今日中に取引先に金を払わないといけない」
「浮気相手を妊娠させてしまった」
「株で失敗し、大損してしまった」
「交通事故を起こし、示談金を払わねばならない」
「借金の返済に追われている」
などという作り話で、「今すぐ、まとまったお金が必要だ!」と泣きついてきます。
身内をかたった、だましの手口が最も多い
中でも多いのが、身内をかたった手口。息子や娘、孫などを装い、電話で連絡してきます。
○ カバン忘れ
親族を装い、「病院や駅、喫茶店のトイレなどに会社で必要な大事な物(小切手など)が入ったカバンを置き忘れて(盗まれて)困っている」などと言い、現金をだまし取る手口。
○ 会社の金を横領
親族を装い、「会社のお金を使って株、又は投資に失敗してしまった。今日、監査が入る。穴埋めのお金を貸してくれないか」などと言い、現金をだまし取る手口。
○ 妊娠の示談金
親族を装い、「不倫相手の女性を妊娠させ、慰謝料や弁護士費用を払わなければならない」などと言い、現金をだまし取る手口。
○ 傷害示談金
親族を装い、「交通事故を起こしてしまい、示談金が必要だ」「相手に怪我をさせてしまい、治療費や示談金がいる」などと言い、現金をだまし取る手口。
○ 会社の書類の送り間違え
親族を装い、「会社の大切な書類(荷物、郵便物など)を違う場所に送り間違えてしまい、お金が必要になった」などと言い、現金やカードをだまし取る手口。
◎ここに注意!
被害者に本物の息子や孫だと信じ込ませるため、
「携帯電話をなくしてしまい、電話番号が新しくなった」
「風邪で声が変わった」
などと話すのも特徴です。
中でも「電話番号が新しくなった」という内容によって、犯人は、被害者に対し、犯行に使用する携帯電話番号が息子などの新しい携帯電話番号であると信じ込ませます。
すると後日、再び犯人から電話がかかってきた際には、電話機の表示や犯人に言われてメモした紙を見て、被害者は電話を取る前から「本物の息子などからの電話だ」などと思い込んでしまう危険があるのです。
●振り込め詐欺の相談窓口
「詐欺かな」と思ったら、すぐ警察へ通報しましょう。また、下記のような相談窓口もあります。
架空請求や不当請求
架空請求や不当請求でお悩みの方やお困りの方は、最寄りの「消費生活センター」にご連絡ください。最寄りの消費生活センターがわからない場合は、独立行政法人国民生活センター「消費者ホットライン」(局番なしの「188(いやや)」番、または「0570-064-370」)でもかまいません。
なお、最寄りの消費生活センターの連絡先は、国民生活センターのウェブサイトでもチェックできます。
・架空請求メール
パソコンや携帯電話に心当たりのない請求メールが届いた方は、下記の警察庁ウェブサイトを参考にしてください。
・キャッシュカード詐欺
警察官や銀行協会職員を名乗る者からの電話などで少しでも不審に思った場合は、最寄りの警察署や相談窓口(♯9110)までご連絡ください。また、全国銀行協会のウェブサイトにも情報が掲載してあります。
取材協力:警視庁、警察庁
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取材・文/橘内美佳