何年も前から取り上げられ、何度もニュースになっている振り込め詐欺(相称:特殊詐欺※)。あちらこちらでPRされている昨今ですし、「こんなに報道されているのにまだ被害にあう人がいるの?」「うちの家族に限って、だまされることはないから大丈夫!」と思っている方も多いでしょう。
でも、詐欺師はあの手この手を使って被害者から理性的な判断力を奪います。それが大きな落とし穴。たとえどんな人でも「うちは絶対に大丈夫!」ということはありません。
実家と連絡を取り合ったり、両親と会ったりする機会が多くなる年末年始。このタイミングで今一度、家族としっかり話し合ってみませんか?
※ 「特殊詐欺」とは、面識のない不特定の者に対し、電話やその他の通信手段を用いて預貯金口座への振込みなどにより、現金などをだまし取る詐欺のこと。
振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺及び還付金等詐欺)や振り込め詐欺以外の特殊詐欺(金融商品等取引名目の特殊詐欺、ギャンブル必勝情報提供名目の特殊詐欺、異性との交際あっせん名目の特殊詐欺及びその他の特殊詐欺)の総称。
詐欺の代表格を知ろう
いろいろなタイプの詐欺がありますが、「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「還付金詐欺」が特殊詐欺の三大代表格。
まずは「オレオレ詐欺」。知らない人はいないくらい有名でしょう。「オレだけど・・・」と、さも電話相手の家族であるかのような口調で、トラブルによってお金が必要になったと話し、現金を犯人の口座に振り込ませるのです。特殊詐欺が広く知られるようになった最初の手口ともいえます。
「架空請求詐欺」は、被害者が実際には利用していない商品やサービスの代金を、メールや文書などで請求する詐欺。
そして「還付金詐欺」は、公的機関職員を名乗る犯人が「還付金を受け取れます」として電話やはがきなどで被害者に接触し、ATMに誘導して犯人の口座への振込みを行わせます。
どれも不特定の人に対して対面することなく、電話、FAX、メールを使って行う詐欺で、特殊詐欺と分類されています。
「オレオレ詐欺」は今年も衰え知らず
特殊詐欺は平成22年以降、平成29年まで7年連続で増加し、中でも「オレオレ詐欺」は、東京や千葉、神奈川、埼玉や大阪などの大都市を中心に多くの被害が出ています。平成30年上半期に限ると、東京と神奈川の被害件数が大幅に増加。1件あたりの被害総額は230万円近くに(警察庁・「平成30年上半期における特殊詐欺認知・検挙状況等について」より)。
「オレオレ詐欺」は平成30年9月末現在、特殊詐欺件数の半分以上をしめ(警察庁調べ)、多くの対策が練られているにもかかわらず、今年度の被害総額も300億円を越えそうな勢いです。
現金を受け渡す、現金手交型は相変わらず多いものの、最近、特に増えているのが、キャッシュカード受け取り型の詐欺。カードそのものはお金ではありませんが、暗証番号を聞き出し、お金を引き出すというものです。
「カードが偽造・不正利用されている」「新しいカードとの変更が必要」「古いカードを預かりに行く」などといった文句でカードをだまし取り、被害者の85%が女性、そのうちの77%が65歳以上の高齢者であるというデータも(オレオレ詐欺全体でいうと、96%が65歳以上です!)。
65歳以上の母親には、くれぐれも注意を促しておきましょう。
●平成30年の手口別被害状況( 前年対比 )
警察庁 警察白書より
●振り込め詐欺の相談窓口
「詐欺かな」と思ったら、すぐ警察へ通報しましょう。また、下記のような相談窓口もあります。
架空請求や不当請求
架空請求や不当請求でお悩みの方やお困りの方は、最寄りの「消費生活センター」にご連絡ください。最寄りの消費生活センターがわからない場合は、独立行政法人国民生活センター「消費者ホットライン」(局番なしの「188(いやや)」番、または「0570-064-370」)でもかまいません。
なお、最寄りの消費生活センターの連絡先は、国民生活センターのウェブサイトでもチェックできます。
・架空請求メール
パソコンや携帯電話に心当たりのない請求メールが届いた方は、下記の警察庁ウェブサイトを参考にしてください。
・キャッシュカード詐欺
警察官や銀行協会職員を名乗る者からの電話などで少しでも不審に思った場合は、最寄りの警察署や相談窓口(♯9110)までご連絡ください。また、全国銀行協会のウェブサイトにも情報が掲載してあります。
取材協力:警視庁、警察庁
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取材・文/橘内美佳