冷凍冷蔵庫の原理は「湯冷め」や「打ち水」と同じ/すごい技術

pixta_30924915_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?
身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●冷凍冷蔵庫

かつて「三種の神器(じんぎ) 」の一つとしてもてはやされた冷蔵庫。現在でも白物(しろもの)家電の代表として重要な役割を担っている。

1930年(昭和5)、国産第1号の電気冷蔵庫が発売された。標準価格は720円、当時としては小さな家が1軒建てられるほど高価で、業務用か富裕層にしか売れなかった。しかし現在、冷蔵庫の普及率はほぼ100パーセント。隔世(かくせい)の感がある。

冷蔵庫の冷却原理はいたって単純である。水を肌に塗って「フッ」と息を吹きかけると清涼感(せいりょうかん)が得られるのと同じ原理だ。水が水蒸気に変化するときに気化熱を奪い、周囲の温度を下げる性質を用いているのだ。冷蔵庫でこの水の働きをするものを冷媒(れいばい)という。

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実際に構造を見てみよう。冷凍冷蔵庫は圧縮器(コンプレッサー)と二つの熱交換器(冷却器と放熱器)からできている。庫内に置かれた「冷却器」で冷媒は蒸発して気化熱を奪い、庫内を冷やす。気体になった冷媒はコンプレッサーの力で液化されて放熱器に運ばれ、庫内で奪った熱を放出する。この繰り返しが冷却のしくみである。

家庭用の冷蔵庫は、冷凍室、パーシャルケース、チルドケース、冷蔵室、野菜室などに分けられている。それぞれマイナス15~20度、マイナス1~3度、0~2度、2~5度、3~8度くらいで、格納する食品の特性で温度が調整されているのだ。

「冷たい空気は下に落ちる」という性質を利用して、以前の冷蔵庫は冷凍庫が最上段にあり、パーシャルケース、チルドケース、冷蔵室、野菜室の順に下に配置されていた。しかし、取り出し頻度(ひんど)の高い野菜室が下では使いにくいので、現在では冷凍庫が最下段にあるものが多い。

これを実現するために、冷やした空気を強制的に循環(じゅんかん)させ、それぞれの領域を最適に冷やす構造になっている。この方式を間冷式と呼ぶ。一方、アウトドアで冷蔵庫を使いたい場合に重宝するのが、ペルチェ方式の冷蔵庫だ。「異種の導体や半導体の接点に電流を流すと、熱の発生または吸収が行なわれる」というペルチェ効果が利用されている。構造が単純なので、省電力と小型化が可能だ。

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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