ICカードの認証、データの読み書きは0.1秒! 身のまわりのモノの技術(7)【連載】

pixta_31324685_M.jpg

一昔前、電車に乗るには券売機に並び、切符を買ってから改札口を通過しなければならなかった。しかし現在、PASMOやSuica などのICカードを持ってさえいれば、公道の延長のように乗り物を利用できる。カードをかざすだけで改札をすませられるからだ。

この便利なシステムを実現しているのがソニーの開発した非接触型ICカード技術「FeliCa」である。これはICカードと、それを読み書きするリーダー/ライターから成り立つシステムに名づけられた名称である。以下では、JR東日本のSuica で改札をすませる場合を例にして、そのしくみを見てみることにしよう。

駅に入場するために、自動改札機にカードをかざす。すると、自動改札機はそのカードが正しいものかを認証し、入金額を読み取り、さらに日時や駅名等を書き込む、という一連の操作を実行する。Suica のすばらしい点は、この一連の操作を0・1秒という短い時間で実行する点にある。改札でもたついては実用にはならないが、認証や読み書きが確実にできなければ改札の意味がない。Suica はその両方の要求を見事にクリアしたのである。

スクリーンショット 2017-08-25 22.00.16.png

カードの中身はアンテナとICチップからできている。自動改札機から出された電波をアンテナが電気に変え、ICチップを作動させる。これが非接触型のICの特徴である。このような技術は一般的にRFIDと呼ばれるが、FeliCa の自慢は一連の複雑な処理を高速に実行する点だ。

FeliCa の持つ確実な認証能力は「Edy」「nanaco」「WAON」などの電子マネー、会社や大学の身分証、さらにはマンション入棟や入室の際の電子キーとしても採用されている。

スクリーンショット 2017-08-25 22.00.31.png

2 0 11 年、米国グーグル社は「Google Wallet」と呼ぶ非接触型の電子マネーサービスを開始した。世界に先駆けて電子マネーサービスを立ち上げた日本にとって、大きなビジネスチャンスになるかもしれない。

涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。現在は高校の数学教諭を務める傍ら、コンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
涌井 貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程を修了後、 富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校の教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

zatugaku.jpg

「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
(涌井良幸 涌井貞美/KADOKAWA)
家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」です。

この記事は書籍「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」(KADOKAWA)からの抜粋です。

この記事に関連する「暮らし」のキーワード

PAGE TOP