部屋を整理整頓するために、ネットや雑誌で知った「収納用品」をたくさん買ってきて意気揚々!やる気に満ちて片付けをし始めたのに、終わってみたら結局レイアウトが変わっただけ、なんて経験ありませんか?
本書『モノを元に戻す技術』では、ベストセラーとなった『シンプルに生きる』の著者であるフランス人作家が、実際に日々行っている「片付け術」を惜しみなく紹介。「どうしたらスッキリ片付いた毎日を送れるのか?」迷える子羊を救う、片付け術の全てを伝授します!
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片づけと視界からモノをなくすことは別のこと
あなたが必要なフライパンを取りだすとき、積み重なったフライパンをもう一方の手で持ちあげなければなりませんか?もしそうなら、それは戸棚の中が「片づいて」いないからです。たとえそのフライパンの山が、見た目には美しく重ねてあったとしても。
片づけとは、ひとまず無条件にモノを段ボール箱に入れたり、棚に詰めこんだりすることであるように思えるかもしれません。もちろん、ずらっと洋服がかかっている奥にある箱の底に、モノをしまい込むのは簡単です。けれども、その箱は隠れていて哀れなことに役にも立たないのですが、間違いなくそこにあるだけでなく、何よりもクローゼットを開けるたびに私たちの心にその存在を主張してくるのです。
片づけとは、並んだ本をぎちぎちに並んだ別のところに置き直そうとして一冊抜きだすとドミノのように崩れる本の山を持つことでもありませんし、アイロンがけしたリネンを美しく積み重ねてその前で誇らしげに気取る(3ヶ月ごとに!)ことでもありませんし、来客が磁器カップをうっとりと持ちあげて見たあと、それをミリ単位にこだわってガラスケースの中に戻すことでもありません。
また、片づけとは、「散らかったもの」を別なふうに配置することでもありません。そうではなく、クローゼットの奥も含め家にあるものすべてが、むだな動作や努力をせずとも、わかりやすく見渡せてすぐに手に取れるようにすることなのです。
片づけのルール
私たちは自分が生きる道を必ずしも選べるわけではないが、
その道をいかに生きるかを選ぶことは常にできるのだ。
ヴィクトール・フランクル
完璧な収納や秩序を手に入れるためには、まず自分の理性と知性を使わなければなりません。じっくりと考えられた整理整頓は、自立性を高め、努力を最小限に抑えてくれます。そしてこういう片づけができると、モノを取り出すのが楽になり、喜びすら伴うようになります。体も無意識に動くようになるほどです。
すなわち、私たちは習慣をひとたび身につけたら、もう気にも留めなくなるのです。そうした習慣にはもはやどんな努力も必要なくなります。寝る前に歯を磨いたり、パジャマを着たりするときに努力なんて必要ないのと同じようになるのです。
上手に片づけることは、暮らしが楽しく快適で楽になるように、精密な機器のシステムを部屋に合うように調整し、さまざまな条件を結び合わせるようなものです。そのためには、それぞれのモノをいつも「適当」に置いてしまわないで、モノに対する動作を見直す必要があります。装飾の基礎知識も必要です。整理整頓とはモノを片づけることですが、同様に、モノを見つけだすことでもあるのです。
最良の片づけとは、さまざまな行動を観察した結果生まれるもので、主な分類項目には以下のようなものがあります。
●使用頻度
●見た目のきれいさ
●手にとりやすさ
●使用場所からの近さ
●収納する中身の大きさと収納用品の大きさのバランス
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