仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。
本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!
◇◇◇
前の記事「「顔を立てる」のも人間関係をスムーズにこなす通貨と思え!/発達障害の仕事術(26)」はこちら。
部族の三大通貨:挨拶
──挨拶を返さない人にも挨拶せよ
くだらないけどやったほうがいいこと
「面子」と同じくらい大切なのが、「挨拶」です。「おはようございます」「よろしくお願いします」などの基本は当然です。これをしっかりやれなければ、本当に大きな損失になります。
しかし、かつての僕も含めてその重要性を認識できていない人は結構多い。快活な表情で挨拶の練習を鏡の前でするのはかなり有効なライフハックです。これは30歳を過ぎた現在でも僕にとってとても重要なことであり続けています。
また、さまざまな組織を見てきましたが、組織によってこの「挨拶」のルールはかなり違います。僕がかつて所属していたところは、「飲み会の翌日に参加者全員にお礼の挨拶」というルールがありましたし、「有給を取った翌日は部署の全員にお礼の挨拶」というルールもありました。僕は「くっだらねえ」と思っていました。「行きたくもない飲み会に出たあげく、挨拶なんかしたくない」という素直な気持ちと、「有給は労働者の当然の権利だろうが」という大変真っ直ぐな気持ちがありました。そこに、ADHD特有のうっかりさんが加わり、気づいたら手遅れになっていました。
いや、わかります。くだらないですよね。僕もそう思います。でも、やったほうがいいですよ。本当に。この通貨をあらかじめきっちり払っておくことの効用は本当に桁違いです。部族ルールがまだわからない新入りの頃などは、とりあえずこれを払いまくってしのぐのが一般的なやり方だと思います。今思い出すと、クソデキ同期はそのようにしていましたね。
また、これは「見えない通貨」を支払うということであると同時に、部族に対して「私はあなたたちに敬意を示します」という動作でもあります。言うなれば、犬がお腹を見せてキャウンキャウン言うあれです。部族ルールや部族の力関係が把握できるまでは、とにかくこれに限ります。そして、それはずっと続けるべきです。あなたが勤続20年のベテランであってもです。感じが良く礼儀正しい人であって損をすることは、まずないからです。
挨拶を返さない先輩に、挨拶をしなくていいわけではない
そして、くれぐれも重要な点があります。「挨拶を返さない先輩」などの存在です。挨拶するのはもしかして迷惑かな、鬱陶しいかなと思うかもしれませんし、反応がない人に声をかけるのは怖さもあると思います。しかし、僕の経験上やるのが正解です。機械的にやりましょう。
ああいう人は「下っ端が挨拶に来て俺は無視した」という形で承認を受け取っている大変偏屈な人です。しかし、払っておいて損はありません(自分が挨拶しないから、相手もしなくていいとは、決して思っていないからです)。得になるならタヌキの置物にでも挨拶すればいいじゃないですか。会社の不愉快な置物にも挨拶しましょう。うまくいくと、不愉快じゃない置物に化けるかもしれませんし。
なお、挨拶で「うまく言葉が出ない」とか「タイミングがわからない」ですが、完全に「はずし」ても「やろうとした」は「やらない」よりマシです。
スマートにやろうという概念を捨てて「とにかく挨拶してくるやつ」という評価を勝ち取ったほうが、たいていの場面において得です。いませんか。「全くスマートじゃない」と評価されつつも、なんだかんだ愛されているあいつ。繰り返せば、徐々に洗練されます。
【まとめ】
・あなたが20年選手だとしても、油断大敵。挨拶は絶対に欠かすな
・挨拶してこない先輩はトラップ。無視されても絶対に挨拶せよ