「挨拶」は人間関係でかなり使える「見えない通貨」だった!/発達障害の仕事術

「挨拶」は人間関係でかなり使える「見えない通貨」だった!/発達障害の仕事術 pixta_23505736_S.jpg仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。

本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!

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前の記事「「顔を立てる」のも人間関係をスムーズにこなす通貨と思え!/発達障害の仕事術(26)」はこちら。

 

部族の三大通貨:挨拶

──挨拶を返さない人にも挨拶せよ

くだらないけどやったほうがいいこと

「面子」と同じくらい大切なのが、「挨拶」です。「おはようございます」「よろしくお願いします」などの基本は当然です。これをしっかりやれなければ、本当に大きな損失になります。

しかし、かつての僕も含めてその重要性を認識できていない人は結構多い。快活な表情で挨拶の練習を鏡の前でするのはかなり有効なライフハックです。これは30歳を過ぎた現在でも僕にとってとても重要なことであり続けています。

また、さまざまな組織を見てきましたが、組織によってこの「挨拶」のルールはかなり違います。僕がかつて所属していたところは、「飲み会の翌日に参加者全員にお礼の挨拶」というルールがありましたし、「有給を取った翌日は部署の全員にお礼の挨拶」というルールもありました。僕は「くっだらねえ」と思っていました。「行きたくもない飲み会に出たあげく、挨拶なんかしたくない」という素直な気持ちと、「有給は労働者の当然の権利だろうが」という大変真っ直ぐな気持ちがありました。そこに、ADHD特有のうっかりさんが加わり、気づいたら手遅れになっていました。

いや、わかります。くだらないですよね。僕もそう思います。でも、やったほうがいいですよ。本当に。この通貨をあらかじめきっちり払っておくことの効用は本当に桁違いです。部族ルールがまだわからない新入りの頃などは、とりあえずこれを払いまくってしのぐのが一般的なやり方だと思います。今思い出すと、クソデキ同期はそのようにしていましたね。

また、これは「見えない通貨」を支払うということであると同時に、部族に対して「私はあなたたちに敬意を示します」という動作でもあります。言うなれば、犬がお腹を見せてキャウンキャウン言うあれです。部族ルールや部族の力関係が把握できるまでは、とにかくこれに限ります。そして、それはずっと続けるべきです。あなたが勤続20年のベテランであってもです。感じが良く礼儀正しい人であって損をすることは、まずないからです。

 

挨拶を返さない先輩に、挨拶をしなくていいわけではない

そして、くれぐれも重要な点があります。「挨拶を返さない先輩」などの存在です。挨拶するのはもしかして迷惑かな、鬱陶しいかなと思うかもしれませんし、反応がない人に声をかけるのは怖さもあると思います。しかし、僕の経験上やるのが正解です。機械的にやりましょう。

ああいう人は「下っ端が挨拶に来て俺は無視した」という形で承認を受け取っている大変偏屈な人です。しかし、払っておいて損はありません(自分が挨拶しないから、相手もしなくていいとは、決して思っていないからです)。得になるならタヌキの置物にでも挨拶すればいいじゃないですか。会社の不愉快な置物にも挨拶しましょう。うまくいくと、不愉快じゃない置物に化けるかもしれませんし。

なお、挨拶で「うまく言葉が出ない」とか「タイミングがわからない」ですが、完全に「はずし」ても「やろうとした」は「やらない」よりマシです。

スマートにやろうという概念を捨てて「とにかく挨拶してくるやつ」という評価を勝ち取ったほうが、たいていの場面において得です。いませんか。「全くスマートじゃない」と評価されつつも、なんだかんだ愛されているあいつ。繰り返せば、徐々に洗練されます。

 

【まとめ】
・あなたが20年選手だとしても、油断大敵。挨拶は絶対に欠かすな
・挨拶してこない先輩はトラップ。無視されても絶対に挨拶せよ

 

次の記事「礼と作法が最重要! 職場の飲み会は一種の「祭礼」と考えよう/発達障害の仕事術(28)」はこちら。

 

借金玉(しゃっきんだま)

1985年生まれ。診断はADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。

『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』

(借金玉/KADOKAWA)

社会生活がうまくいかず苦しむ「大人の発達障害者」が増えていると言われる現代日本。発達障害によって30歳を前に人生をほぼ破たんさせかけた著者が、試行錯誤で編み出した「発達障害者のため」の今日から使えるライフハックを多数紹介! 仕事や人間関係がうまくいかない全ての人のための「日本一意識が低い」自己啓発書です。

この記事は書籍『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』からの抜粋です
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