いまや健康を語る上で欠かせない「腸」の健康。腸がしっかり働いていないと、栄養がうまく吸収されないだけでなく、体に必要なものが作られない可能性があり、さまざまな不調や病気のリスクが高まります。少しでも早いうちから腸内環境を整えておくことが大事です。今回は、みなと芝クリニック院長の川本 徹(かわもと・とおる)先生と管理栄養士の成澤文子(なりさわ・あやこ)さんに「腸を強くする食事のルール」について教えてもらいました。
【前回】腸パワーがアップ!「ゆでるだけ里芋」と「ブロッコリーのオイル蒸し」の秘密
腸を強くする食事のルール
【ルール1】朝食はよく嚙んで食べる
前夜から8時間以上たったところで胃に食べ物が入ると、ぜん動運動が起こって排便がスムーズになります。さらに、咀嚼することは自律神経を整えて腸の働きを活発にしてくれる効果も。
【ルール2】さつまいもは食べ過ぎ注意
さつまいものような不溶性の食物繊維が多い食品を食べ過ぎると、便秘が悪化することがあります。不溶性食物繊維は便の量やカサを増やしますが、ぜん動運動が弱い人の場合、さらに動きが弱くなり、ひどい場合は腸閉塞のような状態になることも。
【ルール3】ヨーグルトやチーズはタイミングが大事
ヨーグルトやチーズは、胃酸の分泌が少ない寝る前や食事の2時間後などに食べるようにするのがおすすめ。胃酸の分泌が低下した状態で食べると、乳酸菌が死なずに腸に定着しやすくなります。
【ルール4】毎食1品は水溶性食物繊維を
善玉菌のエサになり、短鎖脂肪酸を作り出す素となる水溶性食物繊維は、できれば毎食1品は摂りたいもの。特に便秘の人が食物繊維を摂取する場合は、まずは水溶性の食物繊維を含む食品を。
【ルール5】フラクトオリゴ糖も積極的に
フラクトオリゴ糖はオリゴ糖の一種で、大腸でビフィズス菌や乳酸菌のエサとなり腸内環境を整える働きが。新玉ねぎ、トマト、バナナ、ごぼうなどの食品にも含まれます。糖として吸収されないため、血糖値を上げないといううれしい効果も。
腸を強くする食事術
腸のぜん動運動を促す「ささみ」フレーク
50gで60kcal/塩分0.4g
常備菜:冷蔵で3日程度
※保存期間は目安です。保存状態などにより異なる場合があります
材料(作りやすい分量)
ささみ...4本(200g)
(A)塩‥小さじ1/4
(A)砂糖...小さじ1/4
(A)白ワイン(または酒)...大さじ1
(A)粗びき黒こしょう...少々
オリーブ油...大さじ1
作り方
(1)ささみは筋を取る。耐熱容器にささみを入れ、(A)をからめて10分おき、ラップをして電子レンジ600Wで4分加熱する。
(2)そのまま5~10分蒸らして余熱で火を通し、ほぐす。蒸し汁とともに保存容器に入れ、オリーブ油をかける。
※ほぐす際は使い捨てのキッチン用の手袋を使うと雑菌がつきにくいです。
こんなふうに使えます
・スープにのせて
・大葉、のり、ごまなどと一緒にご飯にのせる
・チャーハンに
・パスタの具材に
・サラダに
《腸が強くなるヒミツ》
ささみに豊富なパントテン酸は、腸の働きを活発にして排泄をスムーズにします。パントテン酸は、糖質や脂質、たんぱく質の代謝を助けたり、免疫力の向上にも役立ちます。
善玉菌を増やす「甘酒」ココア
1人分107kcal/塩分0.2g
材料(1人分)
麴甘酒...70ml
ココア...大さじ1/2
牛乳...70ml
作り方
(1) 耐熱のカップに半量の甘酒とココアを入れて混ぜ、電子レンジ600Wで20秒加熱し、よく混ぜてココアを溶かす。
(2)残りの甘酒と牛乳を入れて電子レンジ600Wで1分30秒加熱して混ぜる。
《腸が強くなるヒミツ》
甘酒の麴菌に含まれる食物繊維や麴菌が生み出す酵素によって生まれるオリゴ糖が、腸内で善玉菌の繁殖を助け、腸内環境を整えてくれます。甘酒をトマトジュースや豆乳で割るのもおすすめ。
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) 撮影/米山典子 スタイリング/片野坂圭子 レシピ制作・監修・栄養計算/成澤文子