「腸の働き」をセルフチェック! 腸内環境の確認には「イカ墨パスタ」を

いまや健康を語る上で欠かせない「腸」の健康。腸がしっかり働いていないと、栄養がうまく吸収されないだけでなく、体に必要なものが作られない可能性があり、さまざまな不調や病気のリスクが高まります。少しでも早いうちから腸内環境を整えておくことが大事です。今回は、みなと芝クリニック院長の川本 徹(かわもと・とおる)先生に「腸内環境の整え方」についてお聞きしました。

【前回】免疫力アップ!超の名医が実際に食べている腸活3大レシピ

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こんな便の悩みありませんか?

□毎日出ているけれど、コロコロした便が少しだけ
□食事をしても便意をもよおさないことが多い
□便が硬くて、出すのにひと苦労
□排便の後、スッキリ感がない
□時々おなかを壊し、便が緩くなる

⇒1つでも当てはまる人は腸の働きが弱まっています。

腸の働きチェック

イカ墨パスタを食べてから、どのぐらいで排便されるかチェックしましょう。イカ墨の黒い色素は体に吸収されないので、排出されたタイミングが分かりやすく、腸の働き具合を簡単に確認できます。

「腸の働き」をセルフチェック! 腸内環境の確認には「イカ墨パスタ」を 2210_P010_02.jpg●翌日まで、または数日に分けて排便→腸の状態は問題ありません。
●3〜4日空いてから排便→腸の働きがかなり弱いか腸内環境が悪いです。


食事とラクチン体操で腸内環境を整える

近年、腸が全身の健康と深く関係していることが分かっています。

「肥満や糖尿病などの生活習慣病、花粉症などのアレルギー症状、うつや認知症はもとより、新型コロナ感染症の重症化にも腸内細菌が関与するという報告もあります。また、腸が活発に動いている人は、認知症になりにくいという研究もあります」(川本先生)

ところで、上記の「こんな便の悩みありませんか?」で思い当たる項目はありましたか? 

「便秘や下痢を繰り返すのは、腸内環境のバランスが良くないことや腸のぜん動運動が弱まっていることが原因です。まずは水溶性食物繊維を積極的に摂って、短鎖脂肪酸を増やすよう努めるのが大事。短鎖脂肪酸には腸内環境を整え、免疫機能を正常に保つ、腸のぜん動運動を促すなどの役割が。短鎖脂肪酸が増えると、腸内の免疫細胞も増え、元気に働くように。腸のぜん動運動を促すパントテン酸も欠かせません。ぜん動運動も免疫力と深く関わっています。ぜん動運動が活発だと腸内のバランスが保たれ、免疫機能が適切に働き、免疫力が高い状態を維持できます」


免疫力が上がる

腸を元気にする3つの成分

腸内環境を良くすることは、免疫力の向上にもつながります。

善玉菌を増やす&ぜん動運動を促す3つの成分を知りましょう。

1.水溶性食物繊維

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便を柔らかくして排泄を促したり、栄養素の吸収を緩やかにする他、善玉菌のエサとなって短鎖脂肪酸を作り出す作用も。短鎖脂肪酸には、免疫細胞を増やして免疫力を高める役割が。山いもなどのネバネバ系食材、大麦や海藻、アボカド、ごぼう、りんごなどに豊富に含まれています。

2.パントテン酸

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ビタミンB群の一つで、腸の中で腸内細菌が作っています。腸のぜん動運動を促して消化を助け、排泄をスムーズにする作用が。水溶性食物繊維とともに、積極的に摂るのがおすすめ。レバー(鶏、豚、牛)、鶏のささみ、卵(黄身)、魚全般、干ししいたけ、ブロッコリー、納豆などに多いです。

3.短鎖脂肪酸

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善玉菌が、水溶性食物繊維やオリゴ糖などをエサにして発酵することで作り出されるのが短鎖脂肪酸。酪酸、酢酸、プロピオン酸などがあります。有害物質を作り出す悪玉菌の増殖を抑える働きがあり、腸内環境を整えてくれます。また、免疫機能のコントロールも短鎖脂肪酸の重要な役割。


ぜん動運動を促すには、体操も効果的です。

「体を動かすことでぜん動運動が活発になると、腸内で善玉菌のエサとなるムチンという物質が分泌されます。すると、排便がスムーズに。善玉菌も増えて腸内環境も良くなります。ただし、過度な運動は腸の調子が悪くなるので、無理なく体を動かすことがポイント。おなか周りをマッサージするだけでもいいです」

腸に良い食事や体操を30~40日続けると、腸内環境は変わると川本先生。

「腸内環境が変わると便通が増えたり、便の状態が良くなります。改善されない場合は食べるものを変えて様子をみてください」

早速、腸が喜ぶレシピと腸の動きを活発にするズボラ体操に取り組みましょう。

取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) 撮影/米山典子 スタイリング/片野坂圭子

 

<教えてくれた人>

みなと芝クリニック院長
川本 徹(かわもと・とおる)先生

筑波大学医学専門学群卒業。専門は消化器外科。2003年より、アメリカテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがんの研究を行うなど幅広い知識を習得、2010年より現職。テレビ、雑誌などメディア出演も多数。

この記事は『毎日が発見』2022年10月号に掲載の情報です。

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