誰もが抱える仕事や人間関係の悩み。キャビンアテンダントでの経験から人材教育の講師に転じた三上ナナエさんは「全ては気遣いでうまくいく」と言います。そこで、三上さんの著書『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』(すばる舎)から、自分の魅力をアップし、対人関係もスムーズにする気遣いスキルを連載でお届け。自信をつけて「相手から信頼される気遣い」を身につけてみてはいかがでしょうか。
忘れがちな「ありがとう」の一言
身近な人に対しては、「私のことわかってくれているから......」と何気ない言葉を省略したり、お礼やお詫びが少なくなってしまうことがよくあります。
しかし、気遣いの達人は身近な人にも変わらぬ、いやむしろ身近な人だからこそきちんと気遣いをしていると感じることがよくあります。
たとえば、プレゼントを贈ったとき、「届いたよ!ありがとう」と写真を送ってくれる友人がいます。
お花を宅配便などでプレゼントする場合は、贈る側もどんなお花になるのか確認することができないので、「大丈夫だったかな」と気になることがよくあります。
この友人は、お花以外のものでも写真をメールで一緒に送ってくれます。
その心遣いは、何度されても嬉しいものです。
また、たとえば、相談ごと、悩みごとなどをされたとき、話したほうの頭の中はそのことでいっぱいになっているのか、お礼を満足に言われないことがよくあります。
しかし、気遣い上手の人は、どんな小さな相談ごとに対しても「聞いてくれてありがとう」の一言を必ず言ってくれます。
特に、親しい間柄だったりすると、お礼の一言はついつい忘れてしまうもの。
聞いた側もお互いさまだし、別にお礼は求めていないのですが、ただ一言もらえるだけで役に立てた感じがしてちょっとホッとできるのです。
感謝の言葉が増えると、一緒にいる時間も増える
特に、身近すぎておろそかになるのが、家族に対しての「ありがとう」の一言です。
私の知り合いに、結婚して20年経ってもとても仲の良いご夫婦がいます。
2人に会うと、お互いに「ありがとう」と声をかけあう回数の多さに驚きます。
私が「今もラブラブですね!」と言うと、旦那さまが、「実は、最初は全然"ありがとう"なんて言ってなかったんだ。でも、尊敬する上司に"奥さんがいて仕事ができるんだから、ありがとうは惜しみなく伝えなさい"とアドバイスをされて。"ありがとう"の数が増えると、一緒に行動する回数も増え、どんどん仲が良くなってきたんだ」と話をしてくれました。
気がついたら「ありがとう」が習慣になって、さらに良い関係を築くことができていた。
たった一言が、すごいパワーを持っているということを実感しました。
身近な人にこそ「ありがとう」を伝える。
それをはじめることも続けることも、言葉で書くと簡単なように感じますが、実際は難しいものです。
ちょっと恥ずかしかったり、今更と思ってしまったり、忙しい日々の生活に流されがちではありませんか?
「身近な人だから言わなくたってわかる」と人は思いがち。
しかし、気持ちがあっても、それを形にして届けなければ"ない"ことと同じです。
身近な大切な人にこそ、ためらわずに気遣いを形にして伝えること。
大切な相手にあなたの心は届いていますか?
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元ANAのCAで4500回のフライトを経験した著者が会話や見た目などシーンごとに使える37の気遣いのコツを全5章で解説します