話しかけても反応がない夫と、どう暮らしていけばいいのか――。アスペルガー症候群のパートナーと結婚し、家庭を築いていく難しさから次第にうつ状態(カサンドラ症候群)となったシニア産業カウンセラーの真行結子さん。自身の体験から、「自分らしい夫婦の形を実現させることが大切」だと気づかされました。そんな真行さんの著書『私の夫は発達障害?』(すばる舎)から、いい夫婦関係を保つヒントを連載形式でお届けします。
心の安定を取り戻せるなのなら別居も悪くない
発達障害特性のある夫と顔を合わせる回数が多いと、振り回されて嫌な思いをしたり、ついイライラして夫婦間での言い争いが多くなることもあるかと思います。
そうした場合、少し距離を置くことで、ストレスや口論を減らせることがあります。
「別居なんて自分の我慢が足りないだけなのでは......」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、結婚しているからと言って、必ずしも同居しなければならないわけではありません。
心の安定を取り戻せるのであれば、別居も悪くはない方法です。
夫と一緒に生活できない自分に罪悪感を感じることはないのです。
別居にもさまざまなカタチがある
ひとくちに「別居」と言っても、さまざまなカタチがあります。
家庭内別居のカタチがあれば、住まいを分け、たまに様子を見に帰るカタチもあります。
夫から婚姻費用(※)の支払いを受けながら、夫婦が顔を合わせることなく別居しているケースもあります。
たとえば家庭内別居をする某家族は、それぞれに自室を持ち、それ以外のリビングとキッチン、サニタリーエリアを共有スペースとして使っています。
基本的に家事は妻が担当し、食事に関しては時間が合えば家族で、妻が不在の場合は各自で済ませています。
食事のとき以外、夫は自室にこもっているため、リビングはほぼ妻と子どもとで利用しているそうです。
そのほかに、家事を分業し、食事も別にしている家庭内別居のケースもあります。
いずれにしろ、どのようなカタチがよいのかは夫婦によって違います。
ほかの方のケースを参考にしつつも、比べることなく、自分が穏やかに暮らせる夫との距離感を見つけてみてください。
(※)居住費や生活費、子どもの学費などの費用のこと。
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カサンドラ症候群から回復するまでの同居・別居・離婚の3ケースを全5章が紹介されています